第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)
鍋に白い粉を入れてかかえた湖
それをひと目見ると
「…これは、内緒。政宗は政宗の準備してね」
ひひっと笑う湖に、政宗はため息をついて「わかった」と笑い、他の用意に掛かる
湖は、そんな政宗を確認してから作業に入った
持っていたのは、米粉
数日前から女中達とすり潰した米だ
それに、砂糖、卵、牛乳、そして佐助特性のふくらし粉を入れて混ぜていく
(ホットケーキ、うまくいきますように…)
「おいしくなぁれ、おいしくなぁれ♪」
小さく呟きながら混ぜてれば、政宗が「っぶう」っと吹き出し笑い出す
「あははっ、湖…ほんと、お前は…っ、くくッ…」
「な、なにっ…」
なんで笑われてるのか解らず、だが頬を染めて政宗を睨めば「いや、いい。悪かった」とまだ肩を振るわせながら謝るのだ
そんな事をしていれば、時刻はすっかり夕餉の時間にさしかかる
「湖様、お手伝いはありませんか?」
台所を三成が覗きに来ると、そこには湖と数人の女中が集まっているのだ
「湖様、これ…美味しゅうございますっ」「すごい、こんなにつるんって、なめらかで…」「これが、ぷりんなのですねっ」
わいわいと興奮気味の彼女達は三成に気づかない
「湖様?」
そこへ近づいていけば、湖が三成に気がついた
「あ、三成くん。もう時間?」
湖の声に、三成の存在に気づいた女中達は慌てて一礼するとその側から離れる
そこで、湖の手にある竹筒の入れ物に気づくのだ
「湖様、それは?」
「これね、プリンっ。旨く出来たか、今ちょっと味見してたの」
ふふっと笑う湖の口端に黄色いものが付いている
三成は、なにげにそれに手を伸ばすと親指で拭き取ってそのまま自分の口元に運び入れた
「み、みつ、なりくん…っ」
その動作は先ほどの宗久の比ではない…
どくんっと、心臓が跳ねる音を感じた
「なるほど…確かに甘味・・ですが、なめらかで…もっと食べてみたい味ですね」
「三成、お前の準備はすんだのか?」
そんな三成の後ろから政宗が声を掛けた
「あ、はい。氷提灯の用意をしていたのですが…家康様に、中の手伝いをするよう進められまして…」
((追い払われたんだ(な))