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【イケメン戦国】私と猫と

第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)


「お嬢さん…ここは、城だな…」

牛を連れて歩く商人が青ざめながら湖の後ろを付いて門をくぐった

「そうですよ。安土城です…えっと、石段気をつけて下さいね。今日は少しだけ氷り張ってますから」
「いや、それは問題無いが…その…嬢ちゃんは…ここの奉公人かい?」

(奉公人…いや、居候なんだけど…)

「えーっと…そうです。はい、そんな感じです。それより、この子ずいぶんしっかりしましたね」

母牛と共に子牛まで連れてきた商人
どうやら湖に見せたかったようすで

「そうなんだっ!しかもメス牛だっ嬢ちゃんには、感謝だっ」

もぅーっと牛が鳴いた
湖はクスクス笑いながら商人の話を聞きながら、台所へと誘導していたが…

「きゃっ…なに!!?」

牛の鳴き声に、女中の一人が驚き声を上げる

「あ、ごめんなさい。大丈夫、大人しい子だよ!ほら、赤ちゃんもかわいいでしょう?」
「え・・っ、あっ、湖様!?牛乳って…牛を連れてきたんですか!?」
「うん。新鮮な方がいいかなーって。一応、秀吉さんには許可もらったんだけど…伝え忘れてた…ごめんなさい」
「いえ、いえ…いいんですよ。でも…湖様…それは、噛みついたりしないんですか?」

女中が牛を指さし、それという
そうすれば、商人が笑いながら「そんな悪さはしない」と言うのだ
だが、彼ははっと気づく

「…湖様?」
「え、はい?なんですか?」

つい女中から呼ばれた流れで商人に返事をすると、彼は一気に青ざめた

「様・・って…あんた、もしかして織田の姫君か!?」
「ち、ちがうっ…えっと、違わなく無いんですけど…えっと」
(あー…説明する必要ある??えっと…いや…もういいや…)
「…一応…そうです…」

あんぐり口の開いた商人に、湖は「でもでも」と言いながら続けた

「全く姫って感じじゃないので、一切気にしないで下さいっ、それより牛乳っ!牛乳絞りましょうっ!」

未だ口のふさがらない様子の彼を尻目に、湖は牛の手綱を引いて先に歩いて行ってしまうのだ
そのあとを、商人が小走りに追ったのは女中に声を掛けられてから

連れてきた雌牛は、出産後一週間
牛乳がよく搾れた
子牛に「ごめんね」と言いながら、湖は必要な分を搾乳させてもらった

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