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【イケメン戦国】私と猫と

第5章 歌声 (裏:政宗、家康、信長)


■家康 選択

「っ鈴…!」

猫が家康の部屋で、壺に首を突っ込んでそこの中に落ちた
家康の部屋には、漢方など様々な薬になる材料がある
その中の一つの壺をめがけ鈴が走ったと思えば、封をしていた和紙を破き、頭を突っ込んだのだ
急ぎそこから取り出すと、鈴は千鳥足のようにふらふら歩きぱたりと倒れた


酒の席、つまみにと政宗が出した料理を見て湖が鈴に変わった
気づいた時には、鈴が鰹節を舐めて満足げに尻尾を振っていたが
家康は見ていた
料理が運ばれた瞬間に、湖の顔が驚きと焦りが一気に出たのを
何かと思い皿をみた時には、着物が落ちその中から鈴が這い出ててきたのを

「…鈴の好物だったのか」

政宗がそう言うと、にゃあ!と機嫌のよい鳴き声と
不服そうな信長様の眉

(まだ歌わせる気だったのか…)

知らず知らずに、ため息を零し
お開きになるであろう酒の席を立とうとすると、鈴が家康の懐に入り込んだ

「ちょっと何してるの…っ、出て行って…」

一瞬の事について行けず、懐に入り込んだ猫を出そうとするが爪をたてて簡単には出てこない

「何か懐に入れてあるのか?」

光秀がその様子を横で見ながら尋ねた

「何も入っていませんよ、懐紙くらいしか…」
「…鈴様、出てこられて部屋で休みませんか?」

逆から、懐をのぞき込むように三成が鈴に話しかける

「っ!三成…何やってるの…猫が話を聞くわけないじゃないか」
「いーや、鈴は賢いから。特に三成の言うことは聞くんだが…」

秀吉も気づけば側に来て様子をみている
家康は他の者に囲まれ、げっそりしたように「秀吉さんまで…」と零した

「家康様、失礼ですが…懐紙に何か包んでいらっしゃいますか?」
「別に…さっきまで、木天蓼は持っていたけど…」
「またたび…ですか?」

原因は、木天蓼という薬
またたびを乾燥させたもので、家臣の一人が風邪気味だったため家康はそれに気づき渡したのだった
以前、三成から鈴がまたたびで酔いつぶれたと聞いた
着物をはだけさせ廊下を走っていた湖を思い出す
初めて女の着物を着付けた日

「…あぁ…それか…」
「これは…ひとつ、ご忠告が…」
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