第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)
「家康様」
三成が、女中に運ばれてきた薬箱を家康の側に置いた
「誰が、どじじゃないって?」
政宗が湖の頭に手を掛けると、その髪をぐしゃぐしゃと撫でる
「ちょっとだけだし、放っておいても…」
「湖様、駄目ですよ…万一、傷が残ってはどうされるんですか…」
三成があまりに悲しそうにいうから、湖は何も言えなくなる
「…三成、邪魔…」
そんな三成を言葉で払うと家康が、軟膏を塗っていく
(大した火傷じゃないし…女中さん達が直ぐに冷やしてくれたから平気なんだけどな…)
軟膏を塗られ、軽く当て布をされ、思いの外立派な手当を受けならが、湖は静かに終わるのを待っていたが…
それを横目に政宗が話しかけてくる
「湖、俺に何かして欲しい事があると聞いたぞ」
「あ、そうそう。政宗、あのね…プリン作るの一緒にどうかな?って思って」
「ぷりん?なんだ、それは?」
湖は、プリンについて説明すれば…
「面白いな…だが、それだけじゃ腹が膨れそうにない。俺は食事を作ってやるから、お前がぷりんとかいうのを作れば良いだろう。手が空いたら、俺も手伝う」
「うん!よろしくお願いします」
「…張り切るのは良いけど、怪我はしないようにね…」
家康が湖の手を離す頃には、火鉢でほんのりと手先も温まってきていた
(楽しみだな…宗久さんがお砂糖も手配してくれるし、氷のキャンドルも出来る…でも、なにかサプライズしたいんだけどな…)
そんな事を考えていれば、光秀がニヤニヤしながらこちらを向いているのに気づき、湖は彼の名を呼んだ
「光秀…さん?なにかありましたか?」
「あったのはお前だろう?宗久殿に襲われたそうじゃないか」
「…っ、襲われていませんっ!それに、その話…持ち出さないでくださいっ」
「なぜだ?」
かぁっと頬を染める湖に、光秀は不審な顔をする
(私…あの時、宗久さんだけじゃなく…家康や三成くん、それに秀吉さんにまであの格好見せてるんだよっ…もう、思い出すだけで)
「あーー…その話はいいだろう…」
秀吉がそんな湖の様子に気づいたのか、薄ら頬を染めて言えば光秀は目を見開いたのに「あとで聞かせろ」と秀吉にだけ聞えるように言うのだ