第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)
「…砂糖なら私が用意しましょう。湖様へのお詫びの品として」
宗久が扇をおろしながらそう言えば、湖はその口元を見て驚く
口の端が切れて、殴られたようにみえるのだ
「そ、宗久さん!?どうしたんですか…」
近づこうとすると、家康が手を差し出しその場を阻む
「…近づかなくていい。あんたは学習能力ないの?」
「家康?」
むすっとした表情を見せる家康に、苦笑いをみせる宗久
「宗久殿は、お灸をすえられたのですよ」
「…さようでございます。家康殿にはこれを。秀吉様には説教を。信長様と三成様には無言のお叱りを…虐げられました。湖様、慰めていただけますか?」
「お前は…」
家康が宗久を睨むも、湖は顔を青ざめるばかり
「っ…大丈夫ですか!?すぐに、手当…」
「湖」
「湖様、宗久殿は自業自得の致すところ…問題ございません」
「み、三成くん…??」
秀吉に止められ、三成が冷たい視線で宗久を見るのに湖が驚く
「…三成」
「…なんでしょうか?家康様」
「…顔に出過ぎ…」
そう言われて三成は目を少し見開くと、ふっとほほを緩めいつも通り微笑んだ
「…それは…失礼しました。家康様、ありがとうございます」
「…別に…お前の為じゃないから…」
(びっくりした…)
「貴様は子牛の出産を手伝った後、なぜあの家にいた?」
信長が、続きを促す
「あ、出産の悪露で汚れてしまって。宗久さんが近くに家があるからとお誘いくださって…行きました」
はぁーと家康と秀吉のため息が大きく聞え
宗久は苦笑いをしてみせる
「知らせが来たからいいものを…あんた、あの家がどういう家か知ってるの?」
「宗久さんの家…じゃないの?」
「…それには違いないが、あれはこいつが…女を連れ込む為の家だ」
家康が呆れ顔で言えば、秀吉が一瞬間を置き教えた
そして、続くように三成が駆けつけた経緯を知らせてくれる
「子牛の出産を見た家臣から知らせが来たのです。その場に向かえば、湖様達はおらず…商人に馬で移動されたと聞いて」
「たまたまそいつの家を知っていたからすぐに駆けつけられたんだ…じゃなきゃ」
湖は宗久を見れば、彼は苦笑するのだ
「そのつもりはなかったのですよ…あんな湖様のお姿を見るまでは」