第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)
「じゃあ、湖。金平糖買ったら後は何を買ってもいいから自由に使え」
「うん、ありがとう。秀吉さん」
「それと、馬は止めろ。城下に行くだけだ、いいな?」
「はい」
「深靴でいくんだぞ。あと綿羽織りもちゃんと着ろよ」
「はい」
「知らない人について行くなよ。狭い道には入らない」
「はい」
「日が沈む前には」
「その辺にしておけ。秀吉」
湖は久々に一人外出をすることになった
新しい年を迎えるに辺り、忙しく政務をこなす武将達
湖も女中と一緒に、大掃除等を手伝い忙しく城内を走り回っていた
そんな中で、現代ならそろそろクリスマスだなー…等と思った湖は、今まで貯めた小遣いで日頃世話になっている武将達に内緒でプレゼントを用意しようと考えた
ちょうど良い噂を女中から聞いたからだ
そこで、秀吉に外出する旨を伝えに来たのだ
ついでに、買い物を頼まれたまでは良いが…
心配性の秀吉は、いつになっても「行ってこい」の言葉が掛からず、湖は黙って素直に返事をしていた
(心配してくれるのは嬉しいもの)
だが、あまりに続く諸注意に光秀が声を掛けたのだ
「お前は、湖の母親か」
「またそれか…違うが、心配なのは確かだ」
ぽんぽんと、湖の頭を軽く叩くと覗き込むように言った
「本当に一人で平気か?」
「心配しすぎだよ、大丈夫」
湖が攫われた件から日が浅い
それゆえ秀吉の心配はさらに増していたのだ
「…わかった、気をつけろよ」
「うん。じゃあ、行ってきます。光秀さんも、お仕事頑張って下さいね」
そう手を振りながら小走りに出て行く湖を二人は見送った
「本当に大丈夫か…」
「…お前の過保護は前にも増したな…心配は要らない。三成の使いがついて行ってるだろう」
確かに先ほど湖の後をついて一人後ろを付いて出て行った
「…はぁ…俺が過保護なのか?湖が無防備すぎじゃないか?」
「まあ…だが、それが湖の良いところなのだろう」
「そうだけどな…さて、政務に戻るか」
秀吉と光秀は翻し政務に戻った