第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)
(消し去りたい記憶だよ…)
この時代に来てから、裸族かと思えるくらい
人に肌を晒している
(私、知り合いが増える度に裸を見せてる気がするっ…)
さらに佐助、光秀、三成…顕如にも見られ
一度ならず何度も見られているのだ
(…っ恥ずかしすぎる、、、泣きたいっ)
無意識に三成の着物を握る手に力が入る
「湖…」
すると、信長が湖を呼ぶ声が聞える
湖はそのまま首だけを信長に向けて返事をした
「はい…」
「貴様が気に入らないなら、この男即刻追い返す」
信長が扇を指す先に居るのは、宗久
「…はい?」「…へ…?」
宗久と湖の声が重なった
「ちょ、ちょっとお待ち下さい。私への礼はどうなるのです」
「貴様と湖はもう会わせただろう」
「確かにお会いしましたが…」
「貴様が言ったのは、姫との面会だ。用は済んだ」
信長が淡々と話すのに、宗久が慌てたように食い下がる
武士では無い
ましてや常に側に付いていない彼が、そんな風に話すのを見て湖は信長と宗久は親しいのだと思った
着替えた後、三成から宗久について簡単に話を聞いて居る
信長お抱えの商人であり、少し前の事件で解毒薬を譲ってくれた人
頭が良く、頼りになるだが、少々癖のある人物だと
「あの…大丈夫です…すみません」
(助けてくれた人なのに…失礼な態度は取れない…それに、信長さまにも迷惑掛けちゃうし…)
小さな声が聞え、三成の後ろから姿を出す湖に宗久は安堵した様子を見せる
「…湖、無理しなくても日を改めてでも良いんだぞ?」
秀吉がそう声を掛けてくれるが、日を改めては余計会いにくくなりそうな気がするのだ
にこりと秀吉に笑みを向ければ、ようやく彼の眉間の皺が緩まる
(この女子は…)
信長も秀吉も…この場にいる武将は皆彼女を気遣っているように見える
それから五人はその場で短い時間だが話をし、その席はお開きになった
帰りの際、秀吉に「湖と鈴の件は口外するなよ」と念を押された宗久は笑みを漏らす