第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)
(「猫でも」…もしや、「猫」と区切られるのが…いやいや、猫は猫。人では無いのだから…)
だが、抱きかかえている猫は明らかにツンとした態度
(まるで女子だ…ならば、機嫌を戻すのは簡単…)
ふふっと笑みを零せば、宗久はいつもの通り
人に接するのと同じ態度を猫の鈴に取った
「可愛いお嬢さん、ご機嫌を損ねてしまいましたね。どうか許して下さいね」
猫が自分を見下ろせるような位置までその身体を持ち上げ、宗久は微笑んでみせる
薄ら目を開けた鈴は、じーっとその宗久を見るのだ
(…手強い女子ですね…)
何を考えたのか自分でもよく理解出来ないが、どうしても機嫌を戻したかった
小さな毛むくじゃらの頭に軽く口づけを落とす
すると鈴から擦り寄ってきた
まるで「いいよ、許してあげる」とでも言うように「にゃん」と小さく鳴いたのだ
(…っ、この猫…可愛いらしいっきっと女子なら美人だったでしょうに)
「…可愛い鈴さん」
もう一度、口づけを落とした今度は湿った鼻の近くに…すると…
手に抱えていた重みが一気に増す
その重さに耐えきれず、宗久は抱えた物と一緒に畳に這いつくばるようになった
ち、チリリンッ…
「っな…??」
一瞬の事で頭が追いつかず、落とした鈴を探さなければと畳に手を付き起き上がろうとすれば…
手の平に触れるのは、柔らかい物
しかも、自分がよく知っている柔らかさと暖かみ
「ひゃぁっ!?」
身体を上げ、今の声を確認すれば裸の女子が居るのだ
しかも、自分がまるで組み敷いたような体制
先ほどの柔らかみは彼女の肌
丁度、腹の部分に自分の手が乗っている
驚くよりも宗久の頭が先に理解するのは、この裸の女子の姿
白く透明な肌、染みや傷がない
吸い付くような肌の感触、長い稲穂色の髪、その髪の一部を結うように付いているのは先ほど鈴がつけていた物と同じ髪飾りだ
そして酷く驚いた目で自分を見ている
その目は琥珀色のように見えた
(綺麗な肌、華奢な腰、薄い肩…やわらかそうな稲穂色の髪)
腹に乗っけていた手を外し、その髪をさらりと触れば、女子は逃げだそうと体制を横にし立ち上がろうとする
瞬間的に逃がすまいと、彼女の右手の指を絡め取って畳に押しつけた
そうすれば、今度は背を丸め必死にその姿を隠そうとする