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【イケメン戦国】私と猫と

第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)


天主に通された宗久が部屋の隅に座れば、丁度その屋根から降りてきた猫と目が合う

リリリリン、チリリン…

良く響く鈴の音を立てて板張りに降りた猫は、煤色の毛並みの見たことが無い種
その瞳は右が緑、左が金色と左右異なる色合いをしている

チリリン…

猫が首を傾げ、こちらを見た

「猫…これが、噂の姫様の猫ですか…」

以前、解毒に役立つ薬草を献上した姫
その姫が飼っている猫の風貌は女中達から聞いていた
白い小花がついた赤い組紐に鈴の飾り
人懐っこく、頭の良い猫だと

(確か…)

「鈴…さん?…鈴さん」

鈴は名前を呼ばれ、耳を宗久の方へ向けた
そしてゆっくりと、やや警戒するように近づいてくる
宗久はその様子に、無理に引寄せないように一度猫から目を外した
すると、今度は鈴が宗久の近くに寄ってきて、膝に追いた手に鼻を寄せ、匂いを嗅ぐような仕草を見せる

ふんふん

と、ちいさな息が掛かる
湿った鼻先がツンと手に付けば、冷たい感触がした
下から宗久の顔をじっと見る猫は、まるで宗久を観察しているようだ

(…なんでしょう…猫に値踏みされているようですね…)

クンと、猫の真似をし鼻を鳴らせば、猫は目を見開いて「なぉーん」と鳴いた

(草…草原の香りが…猫とは、このような香りのものでしたか…)

ゆっくりと猫を持ち上げて膝に乗せてみるが、抵抗がない
どうやら害はないと見なされたようで、鈴は大人しくしていた
その背を撫でながら、再度匂いを確かめる

(獣の匂いがしない…本当に不思議な猫だ。異国の種類はそうゆうものなのか?)

今度は猫を持ち上げてみる
赤子を抱くように背中とおしりを支え、下を見ればその顔がよく見えるように

「お前さんは、整った顔立ちをしているね。猫でも女の子は大歓迎ですよ」

つい普段通りの話し方をしてしまえば、猫はそっぽを向いてしまった

(機嫌を損ねた…?)

「おやおや、なにか気にいらない事を言ってしまったか…」

つーんと目を瞑って横を見ているところを見れば、本当に機嫌を損ねたようだった

(人の言葉が解っている…まるでそんな様子…)

ふむっと、一間考え自分の発言を見返る
「猫でも女の子は大歓迎」その位しかまだ言ってない

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