第22章 心から
「…なんで赤くなってんの…」
「湖様…もしや、雪遊びで風邪でも…っ」
家康が額に手を当て、三成は今にも抱えて運んでいきそうな状態になり湖は慌ててその手を制する
「いやっ、違うから。家康、三成くん、大丈夫だからっ」
「じゃあ、なんでそんなに赤いの…」
「駄目です、湖様。風邪は早い内に治すのが一番です」
「っ、違うの。大丈夫だからっ」
三人の絡み合いを見ながら、光秀は愉快そうな笑みを浮かべながら政宗に言う
「両件、まるく収まったな」
「湖はともかく…家康と三成は大してかわらないだろ?」
「まぁ…二人とも湖に対してはさらに過保護になった…というところか…」
「貴様がそれを言うのか」
秀吉と信長もまた三人を見ながらそう言うのだ
「そうですか…もし、本当に体調が悪ければ、早めに仰って下さいね」
「うん。解ってます」
ようやく収集が付いたのか、三成と家康が元の位置に付いた
そこで、三成が何かを思い出したかのように湖の方を向く
「?…どうかした?三成くん」
「あ。その…湖様。つかぬ事を伺いますが、あの時に仰られたこと…家出とは。一体、どちらに家出されるつもりだったんだのですか?」
この場面で、それを聞かれ湖は「え…」と先日の事を思いだす
「み、三成くん?急にどうしたの?」
「…気になっていたのですが、聞けずにいたのです。その…また怒り出されては…と…」
歯切れ悪い三成の話し方
湖の言った「家出」
あの場面でどう啖呵を切って良いか、とっさに出たの言葉が「家出」だ
今思い返せば、まるでこども
「確かに気になるな、聞かせろ。湖」
政宗も興味がありそうに聞いてくる
それは他の武将も同じだ
みんな湖の言葉を待っているようだった
湖は、んーーと言いながら悩む様子をみせると家出先を考えた
そして、考えたことをそのまま口に出してしまう
「…家出…できるとしたら…佐助くん…謙信さまのところかな…」