第22章 心から
「上杉だと…?」
ぴりっと空気が凍った
湖は、「ん?」と首を傾けた後、自分の出した答えに青ざめた
(あ…まずった…)
「やはり貴様には、綱をつけるしか無いようだな…」
(ひっ…え…)
ぴりぴりとした空間に威圧されたように身を縮めていれば、助け船のように鈴の泣き声が聞え
「あ…」
湖がそう呟いたのと同時に、バサリと着物が崩れ落ちる音がする
「…逃げたな」
「逃げましたね…」
もぞもぞと、出口を探して動くそれを側に居た政宗が着物をめくって身体を出してやる
出てきた鈴は「なぉーん」と機嫌良く鳴き、温もりの残る湖の着物に潜っていこうとするのだ
信長は立ち上がって着物ごと鈴を抱え戻ると、リンリンと音を立てる髪飾りを外し、代わりのものをつけた
それは、今までよりも小さな鈴が三つほど付いた髪飾り
白い小さな花と赤い組紐、それに金の鈴
リリリン、チリリリン…
と、今までよりもよく響く鈴の音を立てる
「…首輪の交換ですか」
光秀の問いに、信長がふっと笑うのだ
鈴は新しい飾りを首を振って鳴らし確かめると、「にゃん」と小さく鳴き信長の膝の上で丸くなる
今夜は一段を寒くなりそうな…そんな日の事でした
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「心から」ENDです
最後はだらだらしてしまいましたが、どうしてたでしょうか?
この章は、期間限定イベント「一騎打ち」の家康vs三成編を使わせてもらったので、イベント参加者は気づきましたよね
私的に大好きなイベントでした
今回の「一線を越えた男」「心から」はセットになります
長くなったので章をわけ、あまり大山さんを引っ張りたくなかったので名前も変えましたが…セットです
「一線を越えた男」で登場しました
今井宗久さんですが、実在の人物です
信長に気に入られた商人だったようです
今回話は出しませんでしたが、「私が猫で、猫が私」で家康と信長さまが利用した家、あれは宗久さんの邸という設定に私はしたいのです
彼は、別の話でも出したいと思っています。
ちなみに、手ぐさりは江戸時代からああゆうのが出来たようで、戦国時代は縄が主だったようです
「心から」で、出した深靴とは藁で編んだ長靴のようなものです
ではでは、次の章にて