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【イケメン戦国】私と猫と

第22章 心から


■後日談■

湖の声が戻って、城内の雰囲気が花開いたように明るくなる
あの日からまたしんしんと雪が降り始め、庭はすっかりふわりとした雪が溜まった
ところどころに雪兎や人の足跡があれば、誰がやったのかすぐに解る
それを見つけた家臣や女中達が楽しそうに話すのだ
「今朝、新しいのを見つけました」「犬かしら?兎かしら?」と笑い声が聞える

広間まで歩けば、そこに真新しい足跡を見つけた信長
だが、その足跡に眉をひそめた

(…あの女…)

庭の奧を見れば、ぴょっこぴょっこと跳ね歩く湖の姿を見つけ、信長は素足のまま庭に降りそこに向かう
ふわりとした雪を踏みつければ、雪が沈みきゅっと音を立てる
着物の裾が雪に擦れるのも構わず歩けば、湖がその姿に気づき笑うのだ

「あ、信長さま。おはようございま…っだ、駄目ですっ早く上がって下さい」

信長の素足に気づき、湖は慌てるが
慌てた当人も素足だ
しかも足が真っ赤になって、降りたのが今今では無いことはすぐに解る

「貴様、人の事が言える立場か。さっさと部屋に上がれ」

そう言えば、湖を肩に掛けるようにして部屋に引き返し始めた信長に湖は慌てる
だが、有無を言わさず信長はスタスタと歩き出すのだ

「御館様ー」

秀吉の声が聞える
どうやら、信長を探しているようだ

「ここだ」

信長の返事が思いもしない方から聞え秀吉は目を丸めた

「な…なにをされて…」

信長が着物裾の雪を払いながら板張りに上がるのを驚きながら見る秀吉
よく見れば、信長も
その信長に抱えられる湖の足も真っ赤になっている

「…すぐにお湯を持って参りますっ」

間もなく湯が入った桶が二つ運ばれてきて、二人は足をそこに入れた

「っ…あっついぃ…」

湖がぱしゃんと音を立てるも、馴染みの女中に足を掴まれる

「湖様っ!凍傷になるからおやめ下さいと言いましたよね」

信長や秀吉の居る前で女中が叱る所を見れば、これが初めてではないと悟る

「…つい…」

苦笑いする湖に、女中は足を揉みながら続けて怒るのだ

「鈴ちゃんじゃ無いんですからねっ、真似なさらないでくださいっ」

「「……」」

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