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【イケメン戦国】私と猫と

第22章 心から


案内された方へ足を運べば、賑やかな声が聞えてくる

(わぁ…っ)

広間へ足を踏み込めば、其処には信長や武将を始め家臣達まで大勢ががやがやとごちそうを食べている

(すごい人…、食事もすごいし…なにかあったのかな??)

そう思いながら、部屋の端を通り信長の方へ向かおうとするが、途中途中で家臣に「姫様、ご無事でなによりです」「姫様、目覚められて良かったです」など声を掛けられなかなか進めずに居た
丁度真ん中頃まで来たとき、政宗に見つけられようやく信長の近くまでたどり着けた湖
その表情は、この宴に呆気を取られているように見えるけど

(何のお祝い…??ほんとにすごいけど…)

「起きたか、湖」
「湖様、おはようございます」

信長と三成に声を掛けられ、湖は口を開き『おはようございます』と頭を下げた
すると、ぽんと頭に重みを感じ、顔を上げれば政宗の顔が間近にある

「お前の快気祝いだ」

と、皿に盛られた食事を持ってきてくれる

(…快気祝い?)

きょとんと首を傾げれば、三成が説明をする

「…みなさん、本当に心配されていたんですよ。湖様が毒で伏され目を覚ますまで。目を覚まされても、声を失われていて喜んで良いのか悲しむのか…まだ声は戻られませんが、湖様の快気祝いをしようということになったのです。おめでとうございます、湖様」

(え…、えぇ…っ!?私の…宴??)

驚いていると、先ほどより頭をなで回す手が現れる
わしゃわしゃとされ、湖は思わずその手を止めるように自分の手を重ねた

「この冬を超せば、安土に来て一年。お前も立派な姫だという事だろう」

(この声…光秀さん)

手が離れ、湖の横に座れば、皿に乗っていた魚を摘まむ

「おい、光秀。自分の皿で食え」

政宗は光秀に盛りつけられた皿を渡す

「混ぜるなよ、一ずつ味付けが違うんだ。味わって食え」
「…腹に入れば同じだろう…それより、酒はどこだ?」

酒を探す光秀を横目に政宗は、今度は家康に注意をしている
恐らく山椒についてだろう
丸まっていた湖の目が、ふっと柔らかく細まった
そして声は聞えないが、くすくすと楽しそうに笑っているのだ

楽しい時間はあっという間に過ぎていく
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