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【イケメン戦国】私と猫と

第22章 心から


「…声が出なくても構いません。口を動かして教えていただけますか…」

すると、湖は三成を見て口を動かし始める

『わからない。でも…犬の鳴き声がするの。身体が動かなくなるの』

しんとしたその場で、湖の口元を見る者、目を瞑るもの

『ここが…動揺するみたいに早くなる…』
(まるで…鼓動が痛みのように高鳴った…私は…)

『……ごめんなさい』

苦しそうに笑う姿が、はかなく見え三成は「話してくれてありがとうございます」と小さく答えた
その後、湖は少し疲れたといい秀吉に送られ自室に戻っていった

はぁ、と誰とも言えずため息が零れる

「「犬の鳴き声がして身体が動かなくなる」のだと仰ってました。湖様自身も理解できないのだと…詫びていらっしゃいました」

三成がそう言えば、家康と政宗がそれに答える

「…無意識に恐れてるんでしょ」
「まぁ…殺されそうになったからな」
「手ぐさりによる拘束、刀傷、狂った男と二人だけの時間、凶暴化した犬…」

光秀がひとつひとつ上げる度に、その場に居た者は眉をひそめた

「湖は、ただの女の子だ…俺たちとは違う」

「戻りました」と声を掛け、襖を開いた秀吉が険しそうにそう言うと、信長が息を付きながら武将達に言った

「…俺には今の話は理解出来ぬ…だが、このまま放っておけば、あのへらへらした顔は見られないことは理解できた」

「信長様…へらへらっとは…まぁ、確かにそうとも言うかも知れませんが…」
「たしかに、湖の平和ぼけしたした顔が見られないのはつまらんな」

元の位置に座りながら秀吉が呟けば、同時に光秀もフッと笑い小さく言った

「…「へらへら」は的確」
「素敵な笑顔だと思いますが…「へらへら」とは具体的に…」
「三成は黙って…お前も「へらへら」してるけど、湖の「へらへら」とはどうしてこんなに違うんだ…」
「…家康様、私の笑みを素敵だと?ありがとうございます」
「はぁ!?誰が…」

このまま終わらない言い合いを締めるように政宗が家康の頭に手を乗せた

「家康、三成。騒ぐな」
「お前達は、どうして仲良くできないんだ…」

秀吉はその様子を横目で見ながらため息を付く

「…両件とも貴様らで考えどうにかしろ」
「「「「「はっ…は?」」」」
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