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【イケメン戦国】私と猫と

第22章 心から


どくんっ、

馬の目を見れば、大きなその目が「どうしたの?」と訴えるように見ている
知っている馬だ
乗ったこともある
その目に映った自分の表情は…ひどく怯えていた

どくんっ、どくんっ…

心臓が打つと同時に、自分の中の血液が流れ通るのが解る
そのくらい心臓がなっている

光秀が馬から下りて、何かを話しているのも耳に入らない

冷や汗が出てきて、ここにはいないはずの音が聞えてくる
犬の吠える声…

光秀が、その肩に手を伸ばしたと同時に
湖はその意識を手放した

「……」

世話役や、その近くにいた家臣が駆けつける中
光秀は崩れ落ちたその肢体を受け止めると、眉をしかめて横抱きに抱えた

「…馬を戻して良い」
(毒が…残っているのか…?いや、家康はもう問題無いと言っていたな…なら…湖自身の問題か…)





「なに…?」

光秀からの報告に信長の眉が上がる

湖が、外にでることを無意識に怖がっているというのだ

「確定はできませんが…あの様子だと、そうでしょう…」
「……湖は、あの毒を二度…二度目は、直接打たれてる。恐らくあの場に居た際から毒の影響が出ていたと思います。幻覚作用が恐怖を倍増させた…湖の意識の深くに…もしくは身体が思い出させているのかも…」

光秀から話を聞いた家康が考えながらそう言えば、秀吉はくしゃりと自分の髪を握るように頭を抱える

「…くそ…」
「…外に出ることか、馬…動物か、それともそのどちら共か…」

その横で三成が思い当たる原因を見つけようとする

「失礼します」
「…入れ」

襖を開けると、政宗とその後ろに湖の姿がある

「湖…気づいたのか…」

秀吉がほっとした様子を見せれば、湖は申し訳なさそうに頭を下げる

「貴様は覚えているのか」

そう信長に聞かれれば、湖はこくりと首を動かした
政宗の後ろに付いて歩き、その横に座ると目を閉じてため息を零す

「湖様…教えて下さいますか?」

そう三成に言われ、顔をあげると湖は悲しそうに頷くのだ

「…外に出るのが怖いですか?」

ふるふると頭を振る

「では、動物ですか?」

少しだけ間を取って首を振る
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