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【イケメン戦国】私と猫と

第22章 心から


「貴様がしたいことをしていい…が、やれることを考えろ」

そう言うと、信長は立ち上がって背を向け歩き出す
家康も「言うこと…聞きなよ」と言いながら、その後を追って歩き出した

ぽかんと口を開いていれば、後ろに来た光秀が手を脇に差し込み上に湖を引き上げ立たせた

「だそうだ…今のお前にできる仕事を与えてやろう」

(あの…お掃除、出来てます…よね??)
きょとんと、光秀を見上げれば

彼は何を言いたいのか察したように

「あぁ…伝わってないか…足の怪我が治るまでは止めておけという意味だろう」

「着込めよ」と、光秀に抱えられ部屋に連れて行かれ放り込まれると、何も言わないまま襖を閉められる

(…どこか行くのかな?着込めって、温かくしろって事だよね…)

湖は薄桃色の着物に着替え、防寒用に厚めの羽織を着込むと襖を開いた

「終わったか」

返答代わりに頷けば、光秀は歩き出す
湖は、そのあとに付いて行った
光秀の歩く方向は玄関だ
すぐ側に世話係が馬を連れてきた
馬で出かけようとしているのだと解る
湖は一瞬、ぎくりと身を揺らすが前をあるく光秀は気づいていない
すっと馬に乗ると、湖に手を差し出す
いつもなら、その手を重ねて躊躇なく乗る湖が目線を外して手を出してこない
光秀は、自分の手を下ろし馬上から湖を見下ろすように聞いた

「…怪我人を一人では乗せられない。遠くに行くわけではない、少し我慢しろ」

一人で乗せてもらえないことに不満なのかとそう聞けば、湖は首を横に振る
そして、片手首をきゅうと握ってるのだ

(なんだ…?)

「…城から、出たくないのか?」

ふるふると否定の仕草を見せる

「……怖いか?」

(怖い…?)

横を向いたままだった湖が、光秀の方へ顔を向けた
その瞳は揺れて自分でも動揺しているのが解る

(解らない…私、どうしたんだろう…外が怖い?…馬が怖い?…これ、なに…?)

自分でも何が怖いのか解らず、光秀に伝えることもできない
外にでるんだろうな?と思った
その時に、こんなに心臓がドキドキした?
いや、してない
玄関まで来て、ここから…門と馬と…外に出ると目で見た途端に心臓がどくりとなった

耳にこびりつく音…それが聞こえ始めた
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