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【イケメン戦国】私と猫と

第22章 心から


少しだけ前のめりの背に引かれたそれぞれの手
湖は、秀吉の左手、三成の右手を引くと自分の鼓動が伝わるようにその手を胸に置いた

とくん、とくんと小さな振動と、温もりが伝わってくる

「…湖様…」

三成に呼ばれ、湖はふふっと笑ったそぶりを見せると、今度はその両手を自分の頭まで持ち上げる

「…湖…??」

秀吉はその動作に、なんだ?ときょとんとしているが、湖が満面の笑みを浮かべるのだ
なんとなくどうして欲しいのか理解する
そして、彼女の笑みにつられるように薄く笑うといつものように、ぽんぽんっと頭を軽く叩いてやる

「え…あの…」

まだ理解していない三成の手は未だ湖の頭に乗せられたまま固まっている
すると、湖は強引に三成の手を動かして、ぽんぽんと叩かせるのだ

「湖…様??」

まだ解っていない三成に、少しだけ口を尖らせれば、今度は自分の手を大きく広げた

「あ、…こう?…でしょうか?」

訳もわからず、湖の真似をする三成にふわりと抱きつく湖
そして、三成の背中をぽんぽんっと叩くと、直ぐ横の秀吉も抱きしめた

「っ…湖」「湖様…」

頬を薄ら染める武将が二人
なかなか可愛らしく満足する光景だ
そんな二人を見て湖は、こどものような笑みを見せた

『ありがとう』

そう口を動かせば、伝わったようで二人とも微笑んだ



その日は結局、心配していた女中や家臣やいろんな人の往来と、家康の受診、それに政宗が作った美味しい食事を取る事で一日終わってしまい
部屋から出ることなく過ごさざる得なかった

(声が戻ったら…いっぱいお礼を言わなきゃ…)

心配させていたという申し訳なさと、自分の回復を素直に喜んでもらえているという気持ち
その二つを抱えて湖は、小さく笑った


だが、無意識に手首をさすると耳の奥で聞える音があった
湖は、ぎゅうっと瞳を閉じ何かに耐えるように眉間に皺を寄せるのだった
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