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【イケメン戦国】私と猫と

第22章 心から


いつもより少し乱暴な歩き方で入ってくると秀吉は先ほどまで信長が居た場所へと座った
三成は、襖を閉めるとゆっくりと秀吉の横へ付く

神妙な面持ちに、湖は首を傾げていれば、何も言ってこない湖の様子に二人とも「声が出ない」事実を確認したかのように押し黙る

そんな空気にたまらず、秀吉をのぞき見るように背を丸めようとすると…
いきなり頭を下げる秀吉

(え…!?なに…??)

そんな彼に湖が慌てて手を差し出そうとすれば、

「すまなかった…」

と、彼が詫びるのだ

(秀吉…さん…??)

同じく三成まで頭を下げている

「私も…申し訳ありませんでした」

(み、三成くん??)

二人の武将に頭を下げられ何事かと目を白黒させる
確かに、先ほど信長は「自分のせいだ」と嘆いていたと言っていたが、それ自体なんのことやら
そう思っていれば、秀吉が頭を上げた

「…大山の事…お前が毒を摂取した事もあって、これ以上怖がらせまいとして、ちゃんと話してなかった。はっきりと危険な男だと解っていれば、伝えたが…いや…これは言い訳だ…湖、怖い思いをさせて悪かった」

(…そんな…そんなことないのに…)

「私もです…ただの暗殺者だと思い、甘く見ていた所があります。湖様の立場は、織田の姫。狙われる対象だと解っていたのに…警備を怠っておりました…申し訳ありません」

(三成くん…)

重たい空気が部屋を覆う
先ほど外で見えたキラキラした光りは、あんなに軽やかなのに

(二人とも、私が攫われたのを自分のせいだと思ってるんだ…違うのに…私がちょっとなら大丈夫って、一人で外に出た。私のせいなのに…)

湖は、誰のせいだとも思っていない
確かに怖い思いはした
それは、隠しようも無い事実だし、強がる気もない
だけど、そうなる隙を作ったのは自分自身
甘やかされてこの時代にちゃんと生きていない自分のせいだ
もっと気を配らなきゃいけないのに

(…声が出たら伝えられるのに…)

目の前の二人は、頭を下げたまま動こうとしない
膝に掛かった夜着をめくると、湖は褥の上に正座をし二人に向き合った
それでも頭を下げたままの二人
二人の手に湖の手が重なる
重なったと思えば、くいっと引かれバランスを保つために頭を上げざる得なくなった
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