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【イケメン戦国】私と猫と

第22章 心から


(私は逃げ出した…あの子から…あの現場から…)

2日間で声は戻った

(あの時と同じだ…)

「湖」

光秀に呼ばれ、はっとしたように視線を上げる湖に四人はそれぞれ思うところがありそうだ

「…すぐに出るようになるだろう…怪我もまだ治りきってないから、ゆっくりしろよ」

ぽんぽんと、夜着を叩く政宗

「湖の声が出るくらい旨いものを作ってやればいいだろう」

政宗の様子に光秀が冗談を交えてそう言う
その二人の様子に、深く息を吸った湖は信長と家康同様に、光秀と政宗も抱きしめた
ぎゅう、ぎゅうーっと、
すると…
光秀は、本当に驚いたように目を丸め
政宗は、「…痩せたな…確かに食わせる必要があるか…」と良い、湖の腰元を鷲づかみするのだ
これには、湖もびっくりして抱きしめていた政宗の肩に手を乗せ押した

「っ…!!」

パクパクと動く口元、おそらく文句だろう

「…出ないな」

と、そう言うと政宗は腰から手を外し「なんか作ってやる」と言い部屋を出て行った
家康もまた「俺も…仕事に行きます。湖、昼前にまた来るから」と言い、政宗と共に出て行く

「湖、これから世話焼きが来るぞ」
「そうだな…サルの事だ…口が聞けぬと解れば、常にお前について回るかも知れん。「自分のせいだ」と責めていたからな…」

(秀吉さんが?「自分のせい」??)

「まぁ、本人から聞いてやれ」
衣擦れの音と共に信長が立ち上がる
湖が光秀を目で見れば、彼は気づいたようで

「その世話役が来るまで、ここに残ってやる…まぁ、すぐに来るだろうが…」

そう言った
だが、バタバタと廊下を走る音がし始める

「…その必要はなさそうだ」

信長がそう言えば、光秀も立ち上がった

シュッ!!

今朝の中で、一番勢いよく襖が開く
外はすっかり真っ白になり、日の光で雪がキラキラ輝いていた
秀吉の汗もきらりと光るのだ

「じゃあな」

光秀がそう言うと、信長とともに部屋を出て行く
秀吉はそんな信長に一礼すると、直ぐに湖の元へと駆け寄る
開けられたままの襖から、次に見えたのは紫色の着物
彼もまた息を切らせて入ってきた

「湖」「湖様」

褥の側に座る二人に、湖は微笑んで見せた
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