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【イケメン戦国】私と猫と

第21章 一線を越えた男


「お止めはしたのですが・・・」

そんな三成に女中が頭を下げながら口を開けば、

「いいえ、湖様の事、いつもありがとうざいます」
「恐れ多いことです」
「三成くん?」
「湖様・・・先ほど約束した散歩に少し出ましょうか?」
「ん?」

答えを返す暇もなく、自室に連れ戻され着物を着替えさせられると、三成は湖を連れて城を出た

「み、三成くん?!」

手を引かれるように、そのまま馬に横乗りで乗せられると、三成は湖の後ろに跨がりゆっくりと馬を進める

「はい?」
「あの・・・城外は駄目だって・・・家康が・・・」

少し驚いた様子の湖に、三成は目を細めて微笑んだ

「お一人では・・・と、家康様は言っておられませんでしたか?」
「あ・・・うん」
「大丈夫です。私が側におります」

後ろから伝わる三成の体温と「側に居る」その一言にドキリと心臓が跳ねる
熱を持った頬を冷やすように、手を当てれば

「あ。寒いでしょうか・・・すみません、外に行くと言いませんでしたね。これを・・・」

そう言い、自分の羽織を湖の肩に置く三成に湖は「でも・・・」とその手を止めようとする
だが、今は体制が悪い
馬上で前に横乗り状態の湖はされるがままだ

「大丈夫です。遠くではありませんし、私は湖様の体温で十分温かいですよ」

きっと顔を見れば、天使のように微笑んでいるんだろうな・・・正面向かい合ってじゃなくて良かったかも
と、湖は内心そう思いつつも、素直に三成の好意を行け取って羽織で身を包んだ

「ありがとう、三成くん」

湖が振り向き見上げれば、薄らと頬が染まり言葉を詰まらせる三成

「っ・・」
「三成くん・・・、やっぱり寒い?」
「・・・いえ、熱いくらいです」
「・・・?」

三成が連れてきたのは、食事処の二階の個室
温かい甘味が美味しいと秀吉に聞いたといい、お汁粉を頼んでくれた
三成は閉まった窓の方に寄ると、少しだけその窓を開く
すると、寒い空気が部屋を抜けた

(熱いって言ってたけど・・・本当に熱いのかな?)

部屋は閉ざされ、火鉢のおかげで温かい
だが、風が抜ければ寒さが足もとを冷やした
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