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【イケメン戦国】私と猫と

第5章 歌声 (裏:政宗、家康、信長)


「照月、鈴だ」

政宗は部屋に戻ると、鈴を照月の前に下ろした
二匹はお互いを警戒していたが、そのうちじゃれ合って遊び始めたので、政宗は二匹を遊ばせ文机に向かい筆をとった
一刻ほどし、両方が自分の側で眠りにつくと政宗も筆を終い
少し開いた襖を閉めようとある立ち上がろうとした

っにゃぁ!!

膝をずらしたのが、ちょうど鈴の尻尾の位置だったようで気づかずそれを踏んでしまったのだ

「あ、悪い鈴…」

鈴の姿はすでになく、代わりに栗色の腰ほどの髪と白い肌の湖の背中が目に入る

ちりり…

襖の隙間から入る月光が、ちょうど髪を照らしきらきらと細い髪が揺れた

っ、にゃあっ!

次に聞えたのは照月鳴き声
鈴と湖が急に入れ替わったので、驚き部屋から逃げ出した

「あ、れ?ここ…どこ?」

後ろ姿の湖は、きょろきょろとあたりを見回している
政宗が襖を閉めに行くと、その音に気づき振り返った

「政宗?」


振り返った湖は座ったまま小首を傾げている

「あれ?宴は?あ、はちみつ湯…あれ??」

少し擦れた声、体を隠さず上目遣いで政宗に質問してくる

「…さぁ、どこだと思う」

意地悪そうな政宗の眼差しに気づき、湖は立ち上がろうとして自分の姿に気づいた

「っ、ゃ…っ」

身を隠すように、ぎゅっと膝を抱え丸くなる

「き、きものっ、ちょうだいっ」
「どうしたもんかなぁ」

政宗は湖の目の前でしゃがむとニヤリと笑った

「っ…お願い、政宗っ」

湖は半泣きで政宗と目を合わせると、政宗は指で湖の肩から手までを撫でた
ピクリと、反応するのを確かめ

「ちょっと待ってろ」

そう言うと奥の部屋に向かった

(私、鈴になったんだ。なんで…あ、鰹節?鈴の好物だったから。で、ここは…)

再度、部屋を確認すると政宗の部屋だとわかった

「なんで政宗の部屋にいるんだろう?」

そう独り言を呟くと、上から羽織を掛けられた
青い政宗の着物のような羽織

「ありがとう」

ほっとし、身をくるむように隠すと政宗を見た

「っ」

まるで、獲物を見るような鋭いけど色香のある眼差し

「ご、ごめんね、私…迷惑かけたみたい」
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