第5章 歌声 (裏:政宗、家康、信長)
■政宗 選択
「湖、もう終いか?」
「も、もうお終いです。喉が嗄れて…」
食事が終わり、酒の席で歌わされ続けた湖は声が掠れへとへとになっていた
「ご苦労だったな、湖」
光秀は、湖に酌を渡すと酒を注ぐ
「ありがとうございます、?!っぷっ…、、これお酒じゃないですか!」
「なにか問題があるか?」
「お酒で、喉は潤いませんよ!」
「湖様、こちらを…」
三成が手渡したのは薄茶の黄色い物体
「三成くん、これはなに?」
「佐々成政様達が作った飴です。喉に良いと聞き、貰っておきました」
(この時代にものど飴ってあったんだ)
驚きつつも礼をいい、飴を舐めるとショウガの濃い味に薄ら甘みがあるものだった
「確かに、喉には良さそう」
(飴って割には、辛いけど…効きそうなお薬だと思えば、ありだなぁ)
「これも飲め、湖」
横から甘い匂いの飲み物を政宗が持って現れた
「はちみつ湯だ」
「ありがとう、政宗…あ、それは?」
湖の目が政宗の反対の手に乗る皿をとらえた
「これか?こっちは…」
(なんか、これって…もしかして)
湖の意識があったのは、此処までだった
「鰹の・・・っ湖っ!」
「「あ・・」」
政宗の持っていた皿には大根の葉を湯がいた上に鰹節、そして猫
「…鈴、鰹節が好物だったのか?」
政宗は呆れ顔で皿と猫を下ろし、猫の頭をぽんと撫でると
鈴は、みゃぁ。と、機嫌のよい鳴き声をあげた
側に落ちた着物を、秀吉が拾い政宗に渡す
「今宵の鈴お守りはお前だな」
「はぁ?なんだそれ」
結局、酒の席が終わっても湖は元に戻らず
政宗の膝の上で、鰹節を食べる鈴が居た
「仕方ない…帰るぞ、鈴」
政宗は、鈴を懐にしまうと自分の御殿へ戻るのであった