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【イケメン戦国】私と猫と

第21章 一線を越えた男


「私は・・・この方が、その浪人だろうと思って会う度に頭を下げ続けました。自分の親がしでかした事で、人が死んだのです・・・謝っても許されるわけはありません・・・ですから、許されたと思っては居ません・・・」

飴売りは当初、この若い主としか接触していなかったが、何度か店を訪れ先代だけ居る日に来てからもう来なくなった
そして、まもなく先代は亡くなったのだと話をした

「・・・解りました・・・ひとつ確認ですが、あなたはその飴売りとそれ以降接触されていないのですね」
「はい・・・ですが、先日の茶会の集まりで庄内屋さんが持っていた飴包み・・・あれが、あの飴売りと持っていた物と似ていて・・・もしやと思ったのです・・・同じものを父が死んでいた部屋で見かけましたので・・・」

そう言うと、商人はひれ伏し詫びた

「あの時に一言声を掛けていれば、姫様は・・・申し訳ありませんでした」
「いえ・・・お話をお聞きできて良かったです」

商人が下がった部屋で三成は、彼が持ってきた飴の包み紙を前に考えていた
目の前にあるのは、確かに毒入り飴が包んであった紙と同様の物

(解りませんね…彼の話がすべて事実だとして…)

安土城にまで害を及ぼす理由が見えない…
安土に踏み入れたのは品物を盗んでいた商家への復讐だとして…その目的は先代を殺し終わったのでは?
もし店ごと消したいなら方法はいくらでもあったはず…武士なら刀がある…夜に忍び込めば全員とまでいかなくとも多くに復讐できた
それとも…あくまで要因を作った当人だけで満足した…?
いや…なら自分の国の大名は解るが…その隣の国の一件はなぜ?
それに…ただの浪人がこのように高価な飴菓子や紙をどうやって…

「…大山屋を調べなければいけませんね」

静かに立ち上がると、三成は家臣を呼び指示をした







湖は、三成と分かれたあと
久しぶりに女中と共に掃除仕事をし始めた
「病み上がりですので」という彼女たちの心配を余所に、せっせと廊下を拭いていれば、三成と話し終えた後の大山屋が通り掛かる

(あ・・・あの人、茶会で顔色の悪かった人だ・・・)

立ち上がって一礼すれば、彼から嗅いだことのある匂いがかすかにする

(この匂い・・・)

通り過ぎるだろうと思った彼はこちらを見て立ち止まった
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