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【イケメン戦国】私と猫と

第21章 一線を越えた男


「家康?・・・光秀さん、あれはなんですか?」
「お前に必要な薬草だ」
「え・・・それって、珍しいもので手に入らないって家康が・・・」
「信長様の知り合いが持参してきたのでな。会う機会があれば、礼だな。湖」

湖は、驚きの表情を見せるとすぐに微笑んだ

「そうですか・・・ありがとうございます」
「・・・信長様に、早く顔を見せてやれ。気にしているようだぞ」

(信長様が・・・?命に別状無いのに??)

気にしている
その意味は理解できないが、湖は素直に「はい」と返答を返す

「信長様は、もう何ともないんですか?」
「あぁ、今朝にはもう問題がないようだったな。お前は、どうだ?」
「私も、もう身体は平気です。本当なら寝て無くても良いんですけど・・・たまに眠気が襲ってくるので、家康に心配されて起き上がらせてもらえない感じです」
「・・・そうか」

光秀もまた家康から聞いていた
湖が、小刻みに眠りに落ちること
眠るとうなされていること
そして、本人はそれを覚えていないことを
彼と信長以外、政宗や秀吉、三成はその様子を見て状況を理解していた

(毒が残っている・・・そうは、見えんが・・・)

湖を見ていれば、どことなく目元が重そうな彼女の頭に手を乗せると、その頭をぐしゃぐしゃとなで回した

「・・・眠いか」
「すみません、少し・・・寝ますね」

なで回された頭、いつもなら顔を染めて怒るだろうに
相当眠いのか、湖はそのまま横になって目を閉じてしまった
その髪を整えるように指を通す光秀の表情は、差し込む日が落ちてしまい陰って見えない

「・・・調子が狂うな・・・」

部屋に、ぽつりと声が漏れた

その夜の内に、家康が煎じた薬湯を飲んだ湖は唸れることなくその夜は眠りについた
家康を始め、何人もの人が一度安堵の息を漏らしたのは言うまでも無い

だが、それは一時のことだったと、この後続くことになるとは誰も思わなかった


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