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【イケメン戦国】私と猫と

第21章 一線を越えた男


「目星がつきました。あの飴は、昨日来た庄内屋の者が持ってきたようです。ですが、運んだ者も毒の種類は解らないと思われます。それを用意し庄内屋に渡したのは別人。本日訪れた商人の中には居ない人物です」
「・・・そうか」

信長は光秀の報告を聞き終えると「商人達を適当に返せ」と秀吉に伝えると立ち上がって部屋を出て行った
その数刻後、家康は御殿から薬草をいくつか持ち城へ戻ってきた
城の医務室にも立ち寄って、其処から薬草を選び小さな袋へ移す

(・・・無いか・・・)

少し迷い其処から出ると、始めに足を向けたのは湖の部屋だ

「湖、起きてる?」

部屋の中から小さな返事が聞え家康は入っていく
湖は首だけ家康の方を向け、彼を見上げた
いくつか説明を聞いた後に、それに同意した湖はゆっくり頷き、家康の煎じた薬湯を飲み干した

「・・・湖・・」
「大丈夫・・・ありがとう、家康」

湖は微笑むとその瞳を閉ざした
入れ替わりのように訪れた政宗に、事情を話すと今度は信長のいる天主へとその足を運ぶ

「失礼します、家康です」
「・・・入れ」

部屋に踏み入れると、家康が目にしたのは震える右手を眺めている信長の姿だ

「っ・・」
「解毒方法が解ったか」

だが、その口調は普段と変わりない
息も落ち着いているように聞えるのだ

「・・・はい。すぐに調合しますので、待っていてください」

家康は、信長の分の薬草を採りだしすり鉢ですり、それを茶器に入れる
湯で蒸らした薬草を茶器にそぎ、信長に手渡せば、彼はそれを一気に飲み干した

「苦いな」

くっと笑う信長に家康は「薬湯ですからね」と何時もどおりの口調で返した
その時から、時間を空けて薬を飲み続ける
途中で、二人とも更に熱を上げたこともあったが、翌日の昼過ぎには毒が抜け信長は「もう不要だと」薬湯を止めた

「良かったです・・・ですが、本当にもう問題ありませんか?!無理はされていませんか?!」

秀吉は、安心する一方信長の体調が気がかりでなら無い様子だ
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