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【イケメン戦国】私と猫と

第21章 一線を越えた男


「今日、集まってもらった件だが・・・」
「俺から話す・・・」

上座に座ると、信長が口を開き始めた
内容は今まで以上に、物品の行き来する関所、税を撤廃すること
安土の市を拠点とし、商いを自由にかつ、競争、協定を結ぶ、いかようも自分たちで考えて動くようにするという話だった

湖には、それだけ聞くといい話に聞えるが・・・
今まで大元を取りし来ていた商人達には、打撃を受ける話であったようだ

ただ、これで話は終わらない
信長は、しっかり商人達の意見も取り入れようと耳を傾けたのだ
恐れ多いと顔を青ざめながらも意見を言う商人の話を聞き、その場にでた意見を集約し、互いの合意ができる範疇で御触れを出す
そう話し合いは進んでいった

話がほとんど終わった頃、信長は「他に問題はないか」とそう商人達に声を掛けた
見渡せば、青ざめていた商人も今は顔色良く頷いている

(あれ・・・あの人・・・)

ただ一人を除いて
だが、湖の視線に気づいたのか
その商人も顔を上げ、信長に頭を下げ合意を示した

(・・・気のせいかな?なんだか、まだ青ざめたようだったけど・・・)

湖は、呼ばれはしたが特別な用立てはなかったようだった
話がまとまらないときに、なにか奇抜な策をたてさせるつもりで湖を呼んだが、商人達は思いの外、はっきりと自分の意見を上げてきた
おそらくは、信長に逆らえば即首を切られるなど脅されてきて、声を上げる者は居ないのではないか・・・そう信長は考えていたのだが・・・

「お前の出番はなかったな」

商人達が下がると、信長は立ち上がり湖の膝に置かれている金平糖のいくつかの包みを取ると、そう言った

「私に、何かさせるつもりだったんですか?」

信長が持っていた中には、先ほど湖が目を付けた小さな兎の柄模様の包みがある
じっとそれを見ていれば、すぐに信長は理解し、その包みを湖に投げ返した

「・・・別のを寄越せ」

そう良い、手の平を差し出す
湖は、「ありがとうございます」恥ずかしそうにそう言いながら、信長に変わりの金平糖包みを三つ手の平に乗せようとした
が、乗らない
横から、大きな手が現れそれを取ってしまったのだ
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