• テキストサイズ

【イケメン戦国】私と猫と

第21章 一線を越えた男


そう言うと、秀吉は席を立ち廊下へと出て行く
するとその様子を見ていたのか商人の一人が湖へと心配そうに近づいてきた

「姫様、いかがされたのでしょうか・・・お約束の時間は既に過ぎているのですが・・・信長様のお姿が・・・」

湖は、にこりとその男に微笑むと

「心配いりませんよ。信長様は、もうすぐ来られます。お待たせして申し訳ありません」

と言葉を返した

「そうですか・・・あ、姫様。もしよろしければ、こちらをお持ちください。私が昨日手に入れた金平糖です。信長様も姫様もお好きだと聞いて持って参りました」

そう言い、差し出されたのは瓶に入った綺麗な金平糖だった

「あ、お前さん。ずるいですよ!姫様、私も持って参りました」
「お待ちください。私もあります。ぜひ」
「是非是非に」

そう言い、湖へ色とりどりの箱や瓶、袋にはいった金平糖を持った手が差し出される
どれも可愛い包みをされていた

「ありがとうございます。皆様」

驚きつつも、湖は姫らしく振る舞ってそう答えた
その中に一つ、とても可愛らしい和紙の包み箱に湖は目を奪われた
小さな兎の柄模様だ

「待たせたな、湖」

誰かを寄越す間もなく信長と会った秀吉は、彼と一緒に部屋に入ってきた
そして二人は直ぐに湖の膝から零れ落ちる金平糖の山に気づく

「なんだ、湖。ずいぶん、菓子を貰ったな」
「お前、それ全部食ったら太るぞ」
「っ、いっぺんになんて食べられませんよ!それに、これは信長さまと私にっといただいた物です」

そう言えば、信長の視線が一瞬だけ愛らしいこどものように金平糖を見たことを湖は見逃さなかった

「・・・意地悪するなら、一人虐めしちゃいますよ」
「湖、信長様に何をいうんだ」

ぽんと、頭に手を乗せられしたためられても小さくフンと横を向けば、商人達が注目しているのに気がつき、湖は頬を染めた

「姫様と御館様は、本当に仲がよろしいのですね」
「ご兄妹のようで、微笑ましい」

小さな声が聞え始めると、秀吉もそれに気づき、軽く咳払いをし場を制した
/ 1197ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp