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【イケメン戦国】私と猫と

第21章 一線を越えた男


外より、火鉢で暖まった部屋の方が当然温かい

「・・・湖・・・お前・・・俺以外をそんな中途半端な着替え途中に招き入れるなよ・・・」
「え??」

確かに着物は着ているが、帯は結ばれていない
手を差し込めばたやすく脱がせられる状態なのだ、今の湖は

それに気づかない湖は「大丈夫ですよ」など呑気に笑うのだ
仕方なしに、帯の端を持った秀吉が深くため息を付きながら湖を手招きする

「来い、湖」

意図に気づき、湖も素直に秀吉の方へ向かえば、丁寧に帯を締めていく
最後に結びをポンと叩くと、湖はくるりと回って秀吉に見せた
今日は真っ青な振り袖、それに白、赤、金と糸で刺された花の紋様が散らばってる
それを際立たせるような黒い帯に、雪を思わせるような白い羽織だ

「・・・なんだか。いつもに増して豪華な着物な気がするんですが・・・」
「今日は商人が来るからな、商人の中には着物で人を品定めするような輩もいるんだ。念のためだ」

そうゆうものなのかと思いながら、湖は秀吉と共に信長の待つ場所へと急いだ

「さて、少し遅刻か・・・」
「・・・怒られちゃうかな・・・」

ところが、商人の集まっている席には信長の姿は見られなかった

「これは・・・秀吉様、本日はありがとうございます」
「秀吉様、お久しぶりでございます」
「湖姫様にございますね。お初にお目にかかります。私・・・」

二人は、あっという間に商人達に挨拶に囲まれ一通りの挨拶を済ませると、自分たちの待つべき場所へと向かって座った
そこで、湖は扇を取り出し口元を隠すと秀吉に小声で声を掛けた

「秀吉さん・・・信長さま、どうかされたんでしょうか・・・」
「・・・」
「・・・秀吉さん?」
「湖、お前。此処で大人しく待っていられるか?」
「え・・・うん」
「すぐに、誰かを寄越すから。少し待っていろ」

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