第20章 私が猫で、猫が私 (裏:安土組全員)
ちりりんと響く鈴の音が耳をくすぐる
もともと耳近くでの音には、ぞわりとくすぐられる感覚はあったが・・・比ではない
「やっ・・・、家康っ、離して・・」
すると、家康はうっすらと口角を上げた
「好きにしていいんでしょ」
「っ・・、でも・・・これは」
ちりりん、りん・・りん
ぞわりと、背筋を伝わる音
あからさまに、その音に対して反応を見せる湖の耳は、伏せられ震えている
そして、その瞳はぎゅうと閉じられていた
くすりと、笑みを零した家康はその耳に口づけを落とす
「ちょ・・、と・・」
「湖、いじりがいのある反応しすぎだよ」
「ちがっ・・んっ」
ぱくりと耳先を咥えられれば、湖はそれから逃げるように身を縮める
髪飾りはぽとりと音を立て畳に落ちる
同時に、両手首を軽く握られ湖はその場に押されていた
広がる髪が、光りに当たって光って見える
見開かれた茶色い瞳も、光りの反射具合で緑がかって、湖の白い肌を更に白くみせるようだった
「湖・・・」
名を呼べば、少しの沈黙の後
綺麗に微笑んで名を呼び返す
「・・・家康」
お互いの姿を見つめ合えば、自然と求めるようにその唇を重ねていく
体温を形を香りを確認していくように
「ただいま・・・家康」
口づけの合間に、湖がそう言葉を零すと家康は
「うん・・・」
と、短く答えて微笑んだ
湖の上に覆い被さるように乗った家康は、両肘に体重を乗せ、両手で猫の耳を遊び始める
口づけは止めないままで
湖の声は漏らさないように、わずかな隙間も与えられない
やがて、一番反応を見せる耳の薄い皮部分の位置を見つけると、強弱を付けて其処ばかりを弄り続ける家康
それに加え深い口づけも継続され、わずかに唇が離れるのは呼吸の時間だけだ
「っ・・・ぅ・・・ん・・・っ、っ・・」
(苦しい・・っ、けど、欲しい・・)
息苦しい、わずかに吸える空気では足りない
だけど、離れたくない
そんな思いを伝えるように、家康の両頬に手を伸ばした湖に彼は少し驚いた
「あんた・・・」
唇が離れれば、湖は息荒く新しい空気を吸い込もうとしている
潤んだ瞳、赤い頬、唇はお互いの唾液で艶付いて見える
「っ・・」