第1章 タイムスリップ
手が動く人の体に戻った
それに安堵しほっと息をつくと
「や…やっぱり、もののけだな!!」
「ほぅはじめて見たな…」
「お嬢さんやっぱり可愛いじゃないか」
「君は…!?」
四人の声が聞こえ、改めてそちらを向くと四人が四人、違う表情で自分を見ていた
赤い着物の男は自分を指差し、反対の手で目を隠し赤くなっていた
青い着物の鈴のようなオッドアイの男性は面白そうに
優しそうな男の人は凝視しするようににこにこと
もう一人、緑色の着物で眼鏡をかけた男性は顔を赤くしながらも驚いて自分を見ていた
「え…あの…」
次に自分がなにも着ていないことに気づき、
「!?…ひっ!やー!?」
(やだ!なんで!?)
湖は、身を隠すように立て上がって森に走り出した
(ヤダヤダヤダっなんでなんにも着てないのよー!)
走っていくうちに、やはり違和感が
気づくと 鈴の姿のようだった
「待て!」
誰かが追いかけてくるのが聞こえ必死で逃げた
しばらくすると池のような場所に出た
湖は自分の姿を水に映し見る
(…やっぱり鈴だ…一体どうしたの…)
まず場所が違う事は景色を見れば分かる
自分の体がおかしいことも
(夢?そっか!夢だ!夢に決まってる)
猫は、にゃん!と鳴くと尻尾をユラユラさせた
(夢なら目を覚ませば良いのよ!)
しかし猫の手で頬をつねるなど、古典的なことはできず
(…うん…寝てみよう。寝て目が覚めれば夢も覚めるわ!)
湖は、そう決断し寝心地良さそうな木の下を探し丸まった
寝ようと決めれば猫だ
夜でも毛皮が温かく寒さを感じない
一人…という訳でもない
鈴がいる
(おやすみ、鈴)
「みゃーん」