第1章 タイムスリップ
湖の思考が戻った際、彼女は自分の頭や背中が優しく撫でられてると感じた
(…ん…気持ちいい)
すると、みゃーんという鈴の甘え声が聞こえた
(鈴……あれ…鈴…そういえば、雷がなり終わった後…!)
鈴を抱えていた覚えがない
そう思い出して湖は、勢いよく飛び起き辺りを見回すが「みゃ!にゃ!」という
鈴の声は聞こえるが、姿が見当たらない
(鈴!どこ?)
「おぉ、起きたか?」
「ほんと珍しい毛色だと思ったら、目もか?こいつ、もののけの類いじゃないよな」
見上げると、優しそうな男性と珍しいものを見るような若い男性がいた
そして自分が、その優しそうな男に抱かれていることを把握したが
(…!?大きい!)
彼らが巨人のように見え湖はぎょっとした
「おいおい、幸…お嬢さんに、もののけはないだろ。こんなにかわいい顔をしたもののけはいないだろ」
「信玄様、あんたは女なら人も動物もないんだな…」
変わらず自分を撫でてくれる気持ちいいが、妙なことに気づいた
鈴の手が見える
後ろを向くと、尻尾も…
まさかと、尻尾を持とうと手を伸ばすが動いているのは猫の手
(まさか…ウソ…!?)
自分が鈴になっているのでは?そんな考えに悪寒が走る
猫の毛がザワッと逆立ち固まったのを見て信玄は、大丈夫か?と猫を見る
が、横から手が出てきて猫が消えた
ギュっと、尻尾を握られ持たれ湖…鈴は「にゃぎゃー!」と暴れ始めた
「ただいま戻りまし…!?謙信様!猫の尻尾を持つのはどうかと…?あれ?君…」
「佐助、この猫を知っているのか」
「似てる…けど…」
湖は、この痛みにもう耐えられないと叫ぼうとした
すると、尻尾の感覚が無くなって変わりに地面に落ちて
「!?いったーい!もう!なんなのよ!!」
ぶつけた膝や手が痛く、さっきまで自分を掴んでいた相手を睨み付ける
「猫の抱き方がなってない!」
ビシッと指を指し相手を見るが、そこにいた四人は全員自分を凝視し唖然としていた
「あ…手?」
そこに人の手を見つけ、ニギニギと動かして自分の手であることを確かめる
「…よっ良かったー戻ったー★」