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【イケメン戦国】私と猫と

第20章 私が猫で、猫が私 (裏:安土組全員)


私が呼んだのは、あの人の名前

「政宗・・・が良いです・・・」

目を離すことも出来ず、まるで操られてその名を声に出していた


■政宗:捕獲「衝動」■


廃屋に着くまでの間、何日滞在するか解らない事から湖達は近くの村で食料や褥、着物を調達することになった
だからとはいえ、湖は耳、尻尾ありの姿
馬上で羽織をすっぽり被って、喋らずじっと政宗の対応を見ているだけだ

(・・・どうして、こんなことになったのかな・・・)

鈴との入れ替わり、鈴との会話、このやく二週間のことは不安な事もあったけど、結果として良かったと思っている
もちろん、元に戻れたことは大きい
でも、鈴と話が出来た
こんな不思議な体験、もう二度と経験出来ないだろう
まぁ、今の自分が戦国時代にいて、政宗と思い合ってって、ましてや猫と自分が一体化していること自体、不思議すぎるくらいなんだが、もう湖にとっては普通の事になってしまうくらいなじんでしまっている

馬に荷物を背負わせた政宗が、湖を下から覗き込んで声を掛けた

「どうした?腹でも空いたか?」

(別に、お腹が空いたわけではない・・・)
くぅー

小さな音が湖の腹から聞えると、湖は真っ赤になり、政宗は苦笑した

「素直な腹だな、くくっ・・・待ってろ」

そう言うと、懐からまんじゅうの包み紙を出して湖に渡すと自分も馬に跨がった

「食ってろ」

後ろで小刻みに震えて笑われ、湖の頬は更に赤くなる
それでも素直に「いただきます」と、まんじゅうにかじりつく

(美味しい・・・)

馬を進めていけば、畑から帰る農夫婦や走り遊ぶこども達が見える
夕焼け空に、はしゃぐ声
少しだけ涼しい風が頬を撫でる
その風が、羽織をめくった
湖の頭が外に出る
それを見ていたこどもが一人駆け寄ってきた
政宗は、ごくごく自然に羽織を戻す

「おにいちゃん・・・おねえちゃんは、きつねさま?」

馬の直ぐ側まで寄ってきたのは、赤い着物の幼児
ビクリと、身を揺らす湖に対し、政宗はその子に微笑むと唇に指を当てて見せる

「秘密にな」
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