第20章 私が猫で、猫が私 (裏:安土組全員)
「ひ、とまず・・・立ってくれ。湖」
「どうかしましたか?」
「いや・・その・・・見えてる・・」
(見えてる?なにが?)
指摘され、自分の身体を見ると揺れている尻尾に気づく
そして、今着ている着物がその尻尾でめくれ上がってちらりと見え隠れるしている自分のおしりにも
「っひ・・・ぁっ!!」
すくっと立ち上がり、スカートを押さえるように下ろす湖
「すまん・・・」
「い、、、いえ、私が悪いので・・・」
(尻尾の感覚がないから・・、見られた・・っていうか、鈴っ、下着履いてないっ・・・今頃気づく私もどうかと思うけど・・・って事は、結構今まで見られてた・・・?!)
二人とも顔を染め、しばらく無言の間が続いた
その後、秀吉は湖を居間に上げ座らせると、手際よく夕餉を作り始める
手伝うとも言ったが、今日はいいと断られた湖
(・・・秀吉さん、偉い人なのに家事まで手際良い・・・)
その内、温かい夕餉が運ばれてくる
「政宗が、帰りがけに持ってきてくれた食料で四、五日は持ちそうだ。掃除も終わった事だし、今日はこれを食べたら寝るぞ」
「うん・・・ありがとう、秀吉さん・・・あと、ごめんね」
「なにがだ?」
「秀吉さんを選んで・・・なんだか、信長様が少し怒ってた気がして・・・」
「あぁ・・・少し、な・・・」
否定せずに、返事を濁した秀吉
怒っていたと言うより、睨みがすごかった
それを思いだし苦笑するのだった
二人は食事を取りながら、たまにぽつぽつと会話をした
「私のせいで秀吉さん・・・お仕事・・」
「それは問題無い。三成がいるから平気だ」
「でも・・・」
「湖、もう謝るな。無事に・・・とは言わないが、一応元の状態に戻ったんだ。今日は、めでたい日のはずだぞ。謝ってばかりだと、めでたい感じがしないだろ?」
「・・・っうん。わかった」
その日、二人のどちらからも耳と尻尾の事を口に出すことはなく、別々に隣り合わせにひいた褥で眠りについた
寝始めは、「なんだか、緊張する」等と言っていた湖も、秀吉が背を向け寝たふりを続けているとその内眠りについてしまった
すーすーと気持ちよさそうな寝息に、秀吉はため息を付きながら湖の方へ寝返りをうつ