第20章 私が猫で、猫が私 (裏:安土組全員)
「そうだ・・・俺は耳を触っていただけだ。どうやら、それは触り続けていれば消えるようだ」
「続けるって・・しかし・・・」
後ろで、湖の身体が揺れたのが解った
(続ければ・・・)
「先ほどので一回りも小さくなったんだ。一日弄り続ければ、すっかり消えるだろうさ」
光秀の言葉に、政宗が「ほぅ・・・」と面白そうに含み笑いとし、家康と三成は頬を染め無言になった
そして、謙信はその表情を変えず、逆に幸村は真っ赤になって絶句をする
佐助は「なるほど」と信玄と同じ発言をして光秀の話を聞いて居た
「「俺が預かる」」
そんな中、二人の声がぶつかる
信長と信玄だ
もっともその表情は対照的だ
信長は面白い玩具を見つけたかのように
信玄は顔をしかめ不機嫌そうに
「そんな状態の天女を、織田の我執達に預けられるか・・・俺に預けろ」
「信玄・・・貴様が俺の物に対して口を挟むな」
びりびりと、空気が張り出す
「まあまあ、今回は湖さんが指名することになっていたはずです。さっきから、秀吉さんの後ろから出てこないので、今回は、秀吉さんに決まりだと思いますが・・・」
佐助の一言に、視線は秀吉とその後ろに隠れる湖に集まった
湖は変わらず秀吉の背中に皆から隠れたままだ
「・・・お、おい、湖・・・」
秀吉のかけ声に、湖はその彼の着物を握った
「ひ、秀吉さんが良いです・・・」
小さな声がその場に聞えた
そんな経緯で、秀吉と湖は滞在場所となる民家で、ただいま掃除中だ
あのあと誰もが納得いかなさそうな顔で、しぶしぶ帰って行った
信長には「さっさと帰ってこい」と言われ、秀吉は「善処します・・・」と曖昧な返事を返した
「よし・・・っ、こんなもんだろう。湖、そっちはどうだ?」
台所で掃除をしている湖を見ると、湖はしゃがんでかまどをのぞき見ている
「だいたい終わりました、かまども大丈夫そうですよ」
湖は、呼ばれた方をみると・・・
秀吉はなぜか、顔を隠し横を見ている
「秀吉さん?」
「悪い・・・見るつもりは無かったんだ」
「?」
未だ顔を隠したままの秀吉に、湖は小首を傾げその様子を見ている