第20章 私が猫で、猫が私 (裏:安土組全員)
私は、彼の背中に皆から隠れるように逃げた
「・・・お、おい、湖・・・」
■秀吉:兄「境界線」■
あの場で、湖はすぐに決められなかった
状況に納得出来ない、という方が合っているかも知れない
どうして自分が指名するのか
そもそもそれ以外にも、どうにか方法があるんじゃ無いかと
「えっと・・・そんな事しなくても、もうすぐ消えちゃうと思うんですけど・・・」
全く確信の無い言葉が口から出てきた
「何を根拠に言っている」
「お前は、相変わらず脳天気だな・・・鈴と湖に分かれて二週間も掛かったんだぞ」
「・・・なに?二週間・・・だと?」
信長と政宗からの厳しい意見、そして謙信がそれに眉をしかめる
「・・どうして直ぐに消えると思ったのですか?」
「・・・何も考えてなさそうだけど」
「本人が消えるって言ってんならそうなんだろう」
三成と家康の追求に、幸村の小声
「・・・第三の姫として、城へ・・・」
「あほか、光秀。お前はわざと楽しんでるだろう。これ以上、湖で遊ぶな」
「俺は、素敵だと思うけど・・・その付属品も、十分に愛らしい」
「信玄様、だめですよ。湖さん、隠れて」
「なっ、信玄!お前は、湖に寄るなっ!女たらしがうつる!」
にたりと笑う光秀に、その光秀を怒る秀吉
それに、相変わらずな信玄の言葉と、佐助の真面目な眼差し
(・・・どうにかしないと・・・誰になっても、二人っきりなんて・・・緊張して過ごせないっ)
彼らの言い合いを聞きながら、湖が必死に頭を巡らせている
それを見た光秀が、鼻で笑うとすっと湖に近づいた
「え・・・?!」
湖が上を見上げると、間近に迫る光秀の顔
「みつ、ひで・・さ・・・っ」
「しっ・・・」
軽く指を唇に当てられると、黙るようにと態度で示され湖は口を閉ざした
それにニヤリと笑えば、片腕で自分の胸元に湖を押さえ込み、反対の腕で頭上の耳を触り始める光秀
「っ・・・や、だめ・・っ」
湖の制する声は、光秀の着物に顔を押さえこまれ聞えずにいる
どうにか逃げようと、光秀の胸板に手を置きつき押すがぴくりとも動かない
ふに、ふにふに・・・
(や、だぁ・・っーーー)
「っ、ぁ・・・んんっ・・」