第20章 私が猫で、猫が私 (裏:安土組全員)
「政宗がお米とか野菜貰ってきてくれたから、私、簡単に夕餉を作るね」
「いえ、湖様はお休みを。鈴様が身体を動かしていたとは言え、城からここまで歩かれていたのです。お疲れのはずです」
(うーーん、気持ちは嬉しいんだけど・・・お茶をいれるだけで大変な三成くんに、食事を任せることはできないな・・・)
「・・・じゃあ、二人で支度しない?野菜切って貰うとかお願いしてもいい?」
「もちろんです」
三成は、着物をたくし上げると草履を履き湖と並んで台所へ降りた
そして、一緒に夕餉の支度を始める
ところが、三成の包丁使いは恐々しく
お世辞にも出来ているとは言えなかった
結局、湖がほぼ全てを行うことになるのだった
米を炊き、味噌汁を作り、煮込んだ里芋の味見三成に頼んだとき・・・
「っ、湖様・・・」
名を呼ばれ、横に居る彼の方を振り向く
すると彼は顔を赤らめ目をそらすのだ
「?」
「その・・・尻尾が・・・」
「尻尾?」
ちらりと自分の足もとを見れば
尻尾が、三成に片足に絡まるように巻かれている
「わ・・・っ?!ご、ごめんっ、わざとじゃないのっ・・無意識にっ・・勝手に、尻尾が・・っ」
真っ赤になって、尻尾を外す湖に三成は「い、いえ」と返事を濁した
「・・・夕餉が終わりましたら、少しお願いしたい事があるのですが・・・よろしいですか?湖様」
「あ、うんっいいよ・・っ」
(ひゃぁ・・・っ恥ずかしすぎるよーーーっ)
尻尾を片手に、湖は半分聞き流すように返事をしていた
簡単な夕餉を二人で仕上げ、仕上げと言っても三成が手を出したのは野菜を一、二度切るのと、火を起こすことのみ
「湖様のお世話を指名頂いたのに・・・すみません」
「どうして謝るの?」
「結局、湖様お一人で用意していただきました」
「え?食事の事?気にしないで。私、三成くんにお世話して貰いたくて指名したわけではないよ」
空になった器と箸を置き、三成を見る湖
「二人になる・・・なら、好きな人と一緒が良いなって、思ったら三成くんの名前が出ただけ・・だよ?」
少し頬を染めて三成を見る湖
湖は、すなおに口にしただけだが、三成はそんな湖にどきりとする