第20章 私が猫で、猫が私 (裏:安土組全員)
私が、口に出した名は・・・
「えっと・・・あ・・・の・・・三成くん・・が、いいです・・・」
■ 三成:束縛「私の姫」■
滞在場所まで、安土の面々に送られ
謙信をはじめとする上杉面々は、しぶしぶとその場から去って行った
「じゃあ、三成。頼んだぞ」
「食料は、四、五日は平気だろう。近くの村から買ってきた物を置いておく、湖・・・三成から俺に指名し直すなら今だぞ」
「・・・なんで、三成を選ぶのか理解不能。頭は良くてもこんな生活能力の薄い奴、そうそう居ない」
秀吉、政宗、家康が馬上から見下ろすように湖と三成を見る
「そんな頭がいいだなんて・・・お褒めいただきありがとうございます。家康様」
「・・・その後の話を聞いてたの?」
クスクスと湖が笑う
「・・・ようやく笑ったか」
「あ・・・」
光秀に言われ、口元を覆う湖
「三成の面倒を見るのはもちろんだが、さっさと元に戻って帰ってこい・・・からかう奴が居ないのは、案外寂しいものだ」
「光秀さんっ」
「湖様が?私の面倒を見るのですか?」
「三成、さっさと湖を元に戻し戻ってこい。貴様の仕事が山になる前にな・・・」
「かしこまりました、信長様」
そうして、五人も安土へと戻っていった
湖は、五人がみえなくなるまでその後ろ姿を見送った
「・・・見えなくなりましたね」
「そうですね・・・寂しいですか?」
「寂しい」かと聞かれれば、否定するのは嘘になる
にこりと笑い、横を見る
「これ・・・早く引っ込めなきゃね」
つんつんと、自分の耳を指さすと
三成はそれをじっと見て息を付く
「・・・ひとまず、寝泊まりできるように家を整えましょうか」
「うん」
(三成くんと・・・改めて二人きりって・・・初めてで緊張する・・・)
家に戻った二人は、掃除道具を捜し、近くの小川で水をくんで・・・と生活に支障が無い部分の掃除を終える
それだけで時刻はもう夕方になっていた
「はぁ―――・・・けっこう疲れたね、三成くんは大丈夫?」
「そうですね、掃除とは思いの外に体力を使うものですね」
どちらともなく、おなかの音が鳴り顔を見合わせ苦笑した