第19章 私が猫で、猫が私
「鬼ごっこ・・・再戦だな」
「馬鹿言うな、遊びじゃ無いぞ。光秀」
「・・・そうですね、雷が更に近づいていますし、一刻も早くお二人を探しましょう」
三成の言葉に全員が馬を進み始めた
雨に隠れ気配を殺す二人に気づかずに
-------------
「鈴、湖とお話したかった」
『私も、鈴と話が出来たらどんなに楽しいかな?って考えてたよ』
手を取り合って進む二人
着物は異なるが、それ以外はすべて一緒だ
顔も、身体も、耳も、尻尾も
淡い光りは湖だけでなく、今は鈴もそれに包まれていた
雨は降っている
さーさーとカーテンのように
雷も鳴っている
雲の隙間を縫うように、時折身体に響く音を上げながら
でも、どちらも存在を認識していても何も感じない
今は、この淡い光りが温かく二人を包む
「鈴、湖のことすき」
『私も好きだよ』
「一緒にいていい?」
『もちろん。一緒に居ようね』
「ずっと・・・だよ、ずっと一緒でもいい?」
『ふふ、鈴がそうしたいなら』
いつの間にか、流暢に言葉を話す鈴
目を合わせた二人は、クスクスと笑い合う
そんな鈴が足を止めたのは、大きな一本杉の前
ここだけ、ぽっかりと空間が空いたようにこの杉しか無い
『・・・ここに来たかったの?』
「ううん・・・最初は、のぶながを探してたの。でも・・・雨が降ってきて、もう終わりだって解ったから」
『終わり?』
ピカッ・・・ゴロゴロ・・・・
直ぐ側に、雷が落ちた
木が折れ、倒れる音が聞える
「うん。終わり」
にっこりと湖をみて微笑む鈴の目は、薄茶色から鈴のオッドアイに変わっている
ゴールドとブルーの瞳
「「「湖っ」」」