第19章 私が猫で、猫が私
「今朝、皆様がいらっしゃらないのが不安だったのか泣かれておりました。その後「いく」と言い去って行かれてっ!・・・ですので、もしや・・・皆様を探しに行かれたのでは・・・と・・・」
「泣いてただと?」
「・・・御館様はどうされた」
「早朝、鈴姫様が起きられる前に帰ると仰られ、秀吉様と鷹狩りに・・・あ・・・っ御館様っ!」
「・・・どうした」
鷹狩りの装いで帰ってきた信長は家臣に鷹を預け、鷹弽(たかゆがけ)を左手から抜き取った
そして、騒ぎの理由を聞くと眉をしかめる
「貴様らは、いつ来た」
「今程・・・安土付近に潜んでいた族を叩いてきたため」
光秀が答えれば、信長は足を進めながら息を零す
「・・・その族の拠点を鷹狩りに扮し一掃してきたのだがな」
「あぁ。どうりで、手応えが無かったはずだ」
政宗が、納得したように答えた
「だが、三成と家康が居るはずでは?」
光秀がそう言えば、後ろからバタバタと走る音が聞えてくる
「御館様、鈴が・・・っ、城から出た様子があります」
慌てたような秀吉の声
それに、ため息を零す信長
「三成は城下で水路の視察、家康は族に襲われた地へ状況を確認しに行っている」
「どうして鈴が外に・・・っ」
理由を知らない秀吉に、光秀が先ほどの家臣の言葉を借りて話す
「な・・・」
それに口を開けたままになる秀吉
「「行く」とはっきり言ったようだしな・・・当然、俺たちを探しに出たんだろうな」
「何を落ち着いているっ政宗!っ・・・こんな事なら三成に泊らせれば良かった・・・」
「秀吉、もう事は起きた。それより、鈴を即連れ戻せ」
「「「はっ」」」
三人の声が重なった
その頃、水路に異常があると報告をうけ、御殿から直接出向いた三成の元にも連絡が入る
「・・・解りました。私はこのまま探しますのでそう連絡ください」
家臣にそう伝えると、三成は城から城下までの地形、城下の出入り場所を思い浮かべ歩き出した
(・・・湖様が付いていられれば、大丈夫だとは思うのですが・・・)
信長、家康以外は城下にと集まる
城下では武将達が大勢姿を現した事で騒ぎになりはじめた