第19章 私が猫で、猫が私
「あぁ、早くお帰りになってくだされ・・・御館様・・・」
「早朝、鷹狩りに出られたからな。そろそろお帰りの頃だと思うが・・・」
「他の皆様がはどうされたんだ・・・」
「秀吉様は、信長様と共に・・・三成様は城下で問題があったようで確認へ、家康様はもうすぐ参上されるはずだが・・・」
「政宗様と、光秀様もそろそろ参上されると思うのですが・・・」
家臣の人たちの言う分から、武将たちがタイミング悪く全員不在なのだと解る
『みゃあ、みゃぅ』
(ごめん、鈴っ私ついウトウトしちゃって・・・ちゃんと遊んであげてれば、不安にならなかったよね)
「・・・鈴、いく!」
未だ、涙がこぼれ落ちているものの
キッと顔をあげた鈴に、驚く者、喜ぶ者、様々いるがその場に小さな拍手がわく
「うんっ!いく!」
そういい、鈴(人)が廊下を歩き出す
ひとまずその場に居た家臣達は胸を撫で下ろすが・・・
「・・・行くって・・・姫様は何処に行くつもりだ?」
鈴が向かったのは、城の玄関
草履取りが鈴(人)の姿を見ると驚いて頭を下げる
ところが鈴(人)は、持っていた草履を置くとそれを履き外に出てしまった
抱えている猫がずっと鳴いているのに気づく
「あれが・・・鈴姫様・・・湖姫様瓜二つだ・・・」
その直後、半刻もしないうちに政宗と光秀が参上した
「ったく、山賊風情が安土の地を荒らすなよな・・・肩慣らしにもならない」
くそっと、政宗は肩を回しながら光秀と歩く
「だから言ったんだ。政宗、お前が出向くまでもないと・・・」
光秀は薄い笑みを浮かべ答える
その二人の前に、焦った様子の家臣達が駆け寄った
「鈴姫様を・・・お見かけしませんでしたか・・・」
なんだ?と、二人は顔を見合わせ眉を上げた
「昨日の続きでもしているのか?」
光秀が問えば、家臣は言いずらそうにたどたどしく報告し始める
「いえ・・あのご様子では、「鬼ごっこ」や「かくれんぼ」とは異なると存じます・・・」
「あの・・・」
「なんだ、はっきり言え」
政宗が睨みをきかせると、その内の一人が勢い仕立てて話し出す