第19章 私が猫で、猫が私
「なんだこれは」
信長が興味深そうにそれらを見た
「これは、湯たんぽを綿入れで包んだ物です。こちらは、水鉄砲というこどもの遊び道具だと・・・他に、竹笛に、鞠」
秀吉が、わけ解らないといった顔で見れば
「先ほどの話を小耳に挟んでな。何か無いか城下に出て見繕ってきた」
「なるほどな、人肌代わりの湯たんぽか・・・まぁ、これで寝てられるなら鈴にもいいな」
「それはそうですね・・・泊まり番も、寝衣姿の姫の相手なんて酷でしょうから・・・」
政宗と家康が、光秀の話に相づちを打った
「その水・・・鉄砲とは、仕組みはどうなっている」
光秀がやり方を説明すれば、
「なるほどな、真空となった筒に水を入れ、圧力を掛けることでその小さな穴から水を飛ばすのか・・・面白い玩具だな。これを使えば、こどもでも戦の真似事が出来るというわけか」
「的当てや、童同士で同盟を作って決戦の真似事などをしているようです」
彼らが、光秀の持ってきた物に興味を示している間に食事を済ませた鈴(人)と湖(猫)は、ようやく光秀前に置かれている物に気づいた
「みつひで なぁに?」
鈴(人)が光秀の横に這ってきて、玩具を指さす
「楽しい物だ」
そう言いながら、鈴(人)の頬についた米粒を取ると、そのまま自分の口元に運ぶ光秀
そんな彼には気づかず、湖(猫)は横からそれらを見る
(湯たんぽかな?それに、水鉄砲と笛と・・ボール?鈴の遊び道具かな?)
夕刻が近づこうする時刻、政宗は席を立ち台所へと向かっていく
鈴(人)は、広間で仕事を済ます三成や家康、秀吉について回っている
彼ら以外にも家臣達も出入りするが、鈴(人)はお構いなしだ
また家臣達も、そんな鈴(人)を微笑ましく見ていた
湖(猫)は、鈴(人)が出歩かない事を確認すると、眠そうにその場に丸まり始めた
(眠い・・・猫って、昼はこんなに眠いんだ・・・これじゃ、眠りが深いの納得いくよ)
うとうとと、気持ちよくなりかけた頃
誰かの手が腹に掛かった
りりん・・
だが、警戒心の薄い湖(猫)はされるがままだ
「猫らしくない・・この警戒心の無さには感心します」