第19章 私が猫で、猫が私
「「・・・・・・」」
秀吉と三成に視線が集まる
三成は、政宗の用意した雑炊を数口食べた後匙を置いた
「なぜ黙る」
「・・・それについては、女中に頼んでありますので・・・」
「秀吉と三成は、既に経験済みという事だろう。聞けば、城に来た初日は三成が付いていたようだからな」
信長の問いに対して、秀吉が歯切れ悪く答えれば、光秀が更に追求する
「政宗様、おいしくいただきました。ごちそうさまでした・・・私から、説明・・」
「いい。三成。俺から話す」
はぁとため息を付く秀吉
「面倒事が増えそうだから話したく無かったんだ。それに、こんなに元に戻らないとも思っていなかったしな・・・」
そう話はじめると、食事中の一人と一匹を除き黙るように秀吉を見る
「御殿に引き取って解ったんだがな・・・鈴は猫の習慣のせいか、水を嫌う。手や顔を洗うのは、教えれば問題無かったが、湯浴みは全身だからな。湯に浸からせるのも、洗うのも強制しないとしない。要するに、一人で入れても湯浴みできない」
「なんでそんな面白い事を言わない。俺が入れてやったのに」
政宗が、にやりと笑う
「冗談よせ。そうゆう風に言ってくると思ったから、報告しなかったんだ」
深いため息の後、続けて話す秀吉
「夜は、人肌を求めるようでな。湖が寄り添って寝てもすぐに目を覚ましてうろつき出す始末だ」
「そうですね・・・」と小声で三成が相づちをした
「こちらに連れてきてからは、鈴様を完全に眠られて御殿に戻っていました・・・寝かせるのはさほど大変では無いです。童を寝かせるときと一緒で、背中を叩いててやれば寝るんですが・・・そうか。その後起きて動いてたんですね・・・やはり、とどまるべきでしたか・・・」
「猫は、本来夜行性だからな」
光秀は、ちらりと視線を湖(猫)に移す
「湖はどうなんだ」
「湖は、鈴ほど手は掛からない。湯浴みだって普通にしてたんだが、城に来て女中に湯浴みを任せた初日にな・・・鈴が湯の中に湖を落としたんだ。それ以降・・・あんまりな」
「ならば、色々試してみるか・・」
そう言い、光秀が後ろに包んであった物を持ち出す
出てきたものは様々・・・
筒状の綿入れをした生地、竹筒、竹笛、丸い物体