第19章 私が猫で、猫が私
三成のそれに家康が反応する
「三成、鈴(人)と御殿にずっと一緒にいただろう・・・」
「そうですが、私が会う鈴様は常にあの髪型でしたので・・」
「はぁ?」
三成が秀吉の方を見る
「あぁ。鈴の髪なら、起きてすぐに俺が結ってやってたからな」
「・・・どういう意味だ」
信長がぴくりと反応した
「何がですか?」
「・・・秀吉、貴様・・・鈴と寝たか」
「・・・・・・はぁ?!っち、違いますよ!変な勘ぐりは止めて下さいっ鈴が一人で寝ずにも潜り込んで来てたんです。ですから、起きた時に髪も結ってやっていただけです」
秀吉が頬を染め、信長に説明する
「・・・」
「・・・そんな目で見るのは止めて下さい。やましいことはしていません・・・湖もそんな目で見るな」
(それ、私も知らなかったんですけど・・・)
「湖様は日々お疲れで眠っていらっしゃったので・・・知らないと思います」
三成が困ったように笑った
「兄役も大変だな。よし、鈴、良いぞ」
りり、りりん・・・
髪が結い終わった鈴(人)を見れば、髪型は変わらないが、髪飾りが変わっていた
先ほどまで付けていた細い組紐から、ふわりとしたボリュームのある髪飾りにベルのような鈴がついた物へ
その為か今までとは異なる音がした
「鈴、かわいい?」
頭を振って、音を出す鈴(人)
信長と秀吉の方に駆け寄っていく鈴(人)を視界に入れながら家康が言った
「用っていうのは、これですか?」
「これも…まぁ、そうだな。いくつかのひとつだ」
はっきりしない返答に納得はしていない家康
そんな家康を余所に信長が笑いながら光秀に言う
「まぁいい。貴様の事だ。後でまた出てくるのであろう」
「・・・楽しみにしてください」
薄く怪しい笑みを見せる光秀に、湖(猫)は背筋が冷えた
(嫌な予感しかしないよ)
「さて、お前もこい。湖」
手招きをされ、呼ばれると湖は光秀の元によっていく
すると、優しい手つきで身体を撫でられ・・・思わず反射的にうっとりしてしまうが、すぐに思考を戻し『なん!』と鳴いた