第19章 私が猫で、猫が私
城内に姫発見の知らせが巡る
「やっと見つかったそうだ」
「褒美はだれが・・・」
「湖様と三成様だと・・・」
「結局姫は何処に・・・」
捜索にかかわった家臣達が各自仕事に戻る中、湖の部屋の前では数人の女中と家臣、それに秀吉、三成、政宗が居た
「なんであんな上にいるの・・」
トストスと、足音を立て家康と信長がやってくる
「家康、信長様っ」
木の下で秀吉が二人を呼んだ
「・・・何をしている」
「実は・・・最初はさほど高くない場所にいらっしゃったのですが・・」
三成が詳細を説明する
見つけた当初、鈴(人)は枝の上で幹に寄りかかって眠っていた
だが、秀吉が登ってくる音で目覚め、上の方に逃げてしまったとのこと
「動物的本能だな・・・必死な顔してたんじゃないのか?」
政宗がそう言えば、秀吉は
「いつ落ちてくるか解らないから、降ろそうとしただけだ」
と言い返す
上を見れば、鈴(人)は下を見てにこにこ笑っている
「・・・遊びが・・・追いかけっこになったのかも知れませんね・・・」
三成がぼそっとそう言った
確かに、鈴(人)の表情は遊んでほしいこどものようだった
「はぁーーー・・・次は、おいかけっこって・・・本当に童だ・・・」
「こどもは苦手そうだな。家康」
新たな声が聞えた
「光秀、貴様今度は何処へ行っていた」
「少し用を足しに城下へ出ていました・・・それは、後ほど。今は、鈴を下ろすことを・・・」
「・・・むろん。斧を持て」
信長は、側にいた家臣の一人にそう言った
言われた家臣は驚きながらも、慌てて廊下を走っていく
「斧とは物騒な」
そう言いながら、光秀が笑う
「・・・まさか、倒すつもりですか」
家康が眉を潜めた
「お、おやめ下さい!いくら鈴でも・・・」
「・・いや、有りだろう。あそこまでは、誰も上れない・・・なら、倒して受け止めた方が早い」
「政宗、お前っ」
「・・・効率で考えれば、その方が確実だと思いますが・・・」
「三成、お前まで」
皆、それぞれ
湖(猫)は、斧には驚き木の方へ身体を向けた
(いくら、鈴でも人の身体であんな高さから・・・どうにか、降ろさないとっ)
その木に登り始めたところで後ろから誰かに捕獲される