第19章 私が猫で、猫が私
湖(猫)の鳴き声を聞き、三成が下を見る
「この先にいらっしゃいますか?」
湖(猫)の声に気づき、三成が馬の速度を緩めた
すると、少し先に馬上に座る人影に気づく
近づけば・・・
「三成、ご苦労だったな」
「光秀様。こちらまでいらしていたんですね」
「あぁ。お前から鈴(人)の落ち着きなさを聞いていたからな。距離は近いほうがいいだろう…ようは、外から帰ってきたと思わせればいい」
くすりと笑みをこぼすと、三成は光秀に眠ったままの鈴(人)と湖(猫)を預けた
「では、城にてお待ちしております」
そう言い引き返していく三成に、湖(猫)は小さく鳴いて見送った
「さて・・・引き返すようで悪いが・・・ゆっくり安土に進むとするか」
『にゃぁ』
返事をし、光秀の懐に入ろうとすると・・・
「湖、そこは止めておけ。政宗に、文句を言われるからな」
手を差し入れて解ったのは、冷たく硬いものがそこにあることを
(これって・・・)
「硝煙くさいだの・・・あいつは、匂いに敏感すぎる。こっちに居ろ」
そう言い首根っこを掴むと自分の肩に湖(猫)を乗せた
「・・・それとも、城に着くまで寝るか?」
ふるふると首を振ったのを確認すると、光秀は湖(猫)の首元を撫で何も言わずに馬を歩かせた
やがて、夜が明け城内の人々がそれぞれの仕事を始めるころ
光秀は、安土城城門に入った
「光秀様」「光秀殿」
城内の者立ちに挨拶をされ、馬を預けると鈴(人)を抱き歩き出す
肩に乗っている猫と光秀を交互に見て、家臣の一人が声をかけた
「光秀様、その方はもしや・・・」
すると、光秀は鈴(人)にかぶせた羽織をするり・・・と外す
そこに姿を現したのは、異国の着物を来て眠る女
「ん・・・」
光りが当たったのか、鈴(人)は小さく呟いて薄めを開けた
「っ・・・」
それを見ていた数人のものが息を呑む
くぁーと小さな欠伸をし、手で目元を擦る