第19章 私が猫で、猫が私
程なくして襖が開く
「お待たせしました」
政宗が、襖横に立ち後ろからくる人物を待つ
すると、光秀に手を引かれて入ってきた鈴(人)
その姿は・・・
『にゃっ??』
(中国・・かな?映画でこうゆう洋服着ている女の人みたことがある)
着物のようなものだが、合わせは重ならず、胸当てのような生地が見えた
袖は、肩部分はスリムで手首の方が広く
腰に巻かれた帯は、後ろではなく前で縛られ長く垂れていた
上の着物は膝上まで光沢のある淡い水色だ
そしてスカートのような下履きがある
藍色でシフォン生地のように薄くひらひらとしている
可愛いが、湖が気になるのは
(短くない・・・それ)
膝上15センチ程
ほぼ上の着物と長さが一緒
鈴(人)は髪型までしっかりセットされ、ご機嫌に回って見せた
ポニーテールのように高く結いお団子にされており、髪をまとめているのは、鈴の付いた青い飾り紐
湖が見せたことのないような髪型だ
湖(猫)は自分の姿ではあるが、鈴によく似合う
と感心して見ていた
ちりりん・・・りん・・・
ふわりとスカートが舞えば、太ももまで素肌が見える
「ほう・・・湖のようで湖には見えんな。三成の策、使えそうだな」
信長は満足そうな笑みを浮かべた
対して、家康と秀吉の表情は渋い
「っその袴、短すぎじゃないですか」
「確かに。よく似合っているが・・・政宗、足を出しすぎだろう」
「あぁ。これか」
政宗が相づちをうち、光秀が代わりに答えた
「もともと足首まであったんだがな・・・鈴が邪魔そうにしてたんで切ってやった」
「光秀、お前・・・」
秀吉が文句を言おうとするが、それより先に鈴(人)が光秀の手を離し走り出した
襖から、上座に座る信長と秀吉の間を通り抜けるように
その際、ふわりと草木の香りが漂った
「鈴っ」
秀吉がそれを目で追う
鈴(人)は、天主の外へ張り出した場所へ向かうと、
柵に手つき景色を見回し満足そうに笑っている
ふぅ・・・と、誰でもなく息が零れた
「確かに。三成の言う通り・・・鈴の香りだな」
「香り?あぁ、それか。着替えさせていたときに、光秀と気づいたが・・じゃあ、こっちは湖の香りか」