第4章 眠りの森の (裏:三成、光秀、秀吉)
「んっ」
(温かい…気持ちいい…)
温もりを求めて手を伸ばすと、何やら固いものに
「…っ」
秀吉は湖がもぞもぞと動き自分の胸を撫でるように探っているのに気がつき目を覚ました
結局、あのまま動けず自分も寝てしまったのだった
辺りは暗くなり、夜だと自覚する
(…子の刻頃か?…湖、寝ぼけてるな…)
※子の刻(夜11時から夜中の1時まで)
秀吉がため息を落とすと同時に、がっちり両手で襟元を掴むと、グリグリと顔を刷り寄せてきた
「っんな…!?」
(やめっ…!)
湖が頭を振れば、リンリンっと鈴がなり、花のような匂いも振り撒かれる
(……っ!!こいつのこの香り…まずい…っ)
たまらず湖を引き離す
離された湖は褥に横たわり、何事もなかったように寝ている
「っっ…!」
(…男を誘うような甘い香り…こいつ自身から…)
チラリと横目で見ると、ほぼ何も着ていない女の姿が目に入り固まった
手足からわかってはいた
以前、目の前で猫から変わって見たこともあった
だが、暗闇の月明かりに照らされたその姿は格段に白く浮き上がり
体はすらりと余分な肉がついていない
呼吸の度に膨らむ胸は小振りだが綺麗な形
(…俺が特別意識をして感じてるわけではない…湖は違う…今まで見た女たちとは造りが違う…)
するりと脇から腰まで手を滑らせる
「ん…」
(…綺麗だ)
純粋にそう思えた
駄目だという意識と、触れてみたいという欲求
「…っくち…」
小さなくしゃみで、秀吉の意識が冴えた
はぁーーと、大きくため息を落とし苦笑いを見せた
(…風邪を引くな…)
湖に寝衣を着せると、自分も褥に潜り横たわった
(……このくらいなら良いだろう…言い訳も立つ)
ぎゅっと抱きしめると、湖がすり寄ってくる
(…まったく…危なっかしい娘だ…)