第19章 私が猫で、猫が私
当然のごとく、呼ばれたいつもの面子は
寝衣の状態でころころ転がって笑っている湖と、それをどうにか制しようとしているらしい鈴を目にしながら三成の説明を聞いていた
「ようは、湖の姿の鈴と、鈴の姿の湖という事か」
光秀が面白そうに笑う
「こやつは・・・雷の自然現象によって時を超えたと言っていた・・・ならば、昨日の雷がなんらか影響を及ぼしたと考えてよかろう」
信長は上座を立ち、湖(猫)を抱えるとその尻尾を握る
『ひ、にゃぁーー!!』
(っいっ・・・!!!痛いですっ!!信長様!!)
突然の痛みに、湖(猫)は叫んだ
「姿を変えぬか・・・」
『にゃっにゃっ!!』
(突然、ひどいです!)
「御館様・・・湖(猫)が怒っているようですが・・・」
「・・・確認すべきことをしているだけだ」
尻尾を離せば、湖(猫)は『ふぅ!!』と怒りの声を上げた
だが、すぐに後ろからその身体を捕まれる
鈴(人)だ
鈴(人)が、湖(猫)を両手で引っぱり抱きかかえようとするが、実に扱いは雑
上下逆さまに持たれ、頭を下に向けられ顔を合わすような高さに持ち上げられる湖(猫)
「・・・あ・・なぁん・・」
眉を潜めて、考え込むような顔をしながら・・・そして少し間を置いて、湖の名を呼んだ
「・・・湖」
にっこりと笑う鈴(人)
湖(猫)は、抱えられた手から降りると、鈴(人)の膝に前足を上げ見上げた
それを見ていた全員が息を飲む
『みゃぁ』
(鈴・・・、今・・・話した??)
「湖」
再び、湖(猫)の名を呼ぶ鈴(人)
「鈴様・・・、お話出来ますか?」
近くにいた三成が、鈴(人)に問いかける
だが、鈴(人)は「にゃあ??」と首を傾げるだけ
「空耳か?」
「空耳にしては、はっきり言っていただろう」
政宗と、光秀が言葉を漏らす
だが三成は一瞬考えて、こう言った
「・・・では・・・私の名は解りますか?」