第19章 私が猫で、猫が私
膝を付き湖を抱き上げる
猫は無抵抗な様子で、そのまま抱えられていた
「それが、湖なら・・・これは誰なのさ・・・」
次に口を開いたのは、家康だ
秀吉は状況が飲み込めずにいるようだった
「おいおい・・・どうして、同時に居るんだ・・・」
(夢・・・じゃない・・・ってこと??)
三成の顔を見上げれば、彼は困ったように笑って見せる
「夢ではありませんよ。実際に、私たちも目にして混乱しております」
(えええっ・・・?!じゃ、じゃぁ、あの私はいったい・・)
猫や周りから声が出始め、ざわつくと
湖はごろんと寝返りをうって、薄めを開けた
ちょうどその方向に居た家康と秀吉は、ビクリと身を揺らす
それを呆けて見ていた湖だが、やがて褥に手を付き、まるで猫のように身体を伸ばし始める
寝衣で、そんな動きをすれば当然合わせははだけるが、湖はお構いなしだ
目がぱちりと開くと、両手で支え体を起こす
そして、周りをキョロキョロと見回し小首を傾げた
その姿は、寝衣の前が腰紐までだらしなく開き、もう少し動けば肩から寝衣がずれ落ちるんじゃないかという魅惑的な格好だ
だが、それに頬を染めるどころか青くなる秀吉
「まさか・・」
その名を口にする
「鈴・・・か・・・」
すると、呼ばれた先を見て湖は無邪気な笑みを見せた
「にゃぁ」
にこにこと、尻尾でも振るかのように機嫌のよい湖
いや、湖の姿をした鈴
「あんた・・・毎回毎回、何やってんの・・・」
家康は、鈴の姿の湖を呆れたような表情で見た
(そんな、顔しないでよっ・・・私が聞きたい・・・)
「ひとまず・・・目が当てられないから、直すぞ・・・湖、いや鈴か」
秀吉が、褥に寄って膝を付くと鈴は待っていたかのように、その頭を抱えるように飛びついてくる
抱きつかれた秀吉は、それを払うことも出来ず固まった
「ぷっ、、っ・・鈴っ鈴っ、ちょっと、離れろ・・・」
抱きついてくることで、湖の胸が自分の顔にあたっている
ほぼ素肌だ
『にゃ?!にゃあ“―――!』
(ひっ・・・!!)
三成に抱かれている鈴が叫んだ