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【イケメン戦国】私と猫と

第18章 秘密の抜け道(裏:謙信、信長)


冷たい視線を向けられれば、背筋に悪寒が走る湖
逃げようと行動に移る前に、信長によってその場に伏せられる
仰向けに伏せられ、中途半端にひっかっかる帯を抜かれた

「やっ・・どう、したんです・・かっ?!」

せめてもの反抗のように信長を睨み、その身を離そうと信長の胸板を押し返す
だが、そのような抵抗は抵抗の内にも入らない・・・とでも言うように、信長は帯を放り投げた
そして、着物を押さえている下帯や合わせ紐を強引に解く

(っ・・怖い・・・)

何も読めないような信長の表情
湖を見つめる瞳は、冷たさだけを感じる

(こんな・・・表情・・・見たことない・・・っ)

合わせに手を掛けると、襦袢ごとはぎ取るように開き肩から引き抜こうとする
その際、側にあった脇息が飛ばされ転がった

ごんっ!ことこと・・

信長の手が着物を引き抜こうとした際に、勢いよく当たったのだ
二人の視線は、一瞬それに取られる
そして、お互いの顔を合わせた時、
信長は、湖の怯える瞳を見た
湖は、冷たい瞳に温度が戻ったのを見た

「・・・のぶ、なが・・・さま・・・」

怯えた瞳から、一筋の涙が零れる
それでも、なんとか堪えるように、信長を見つめその名を呼んだ

「・・・寝衣を用意させる・・・着替えろ」

湖を視界から外し、引き抜こうとしていた着物から手を離す信長
湖は着物を合わせ、信長に背を向けた
信長は、外に続く板張りへと出て梁を背に酒を手にしている
やがて、女中が寝衣を持ってくると
几帳の影で寝衣に着替え、寝衣と共に用意されていた桜色の羽織も羽織った湖

(・・・謙信さまに頂いた着物・・・)

今まで着ていた赤い着物を丁寧に畳み終わると、顔を信長の方へと向ける

(・・・さっきの信長さま・・・あの時の謙信さまと重なって見えた・・・着物を破かれた時の・・・)

ただ、信長は湖を傷つけるような行為はしなかった
たしかに着物は破れるんじゃなかろうかと思うくらい引かれたが、身体を捻られたり直接触れたりはしなかった

ふぅ・・・と息をつくと膝を立て信長の方へと湖は向かった
そして、近くに腰を下ろすと信長の表情を横から見た
無表情で、月を見上げ酒の口に含む姿を
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